半導体一括交渉、トヨタがグループ連携調達を始めた
トヨタ自動車はデンソーなどグループ企業と半導体調達で連携を始めた。開発段階での情報共有を強化し、使う半導体の共通化や汎用品への代替などを進め、トヨタが半導体メーカーと一括交渉できる仕組みを整えた。これまでは主にグループの部品メーカーが、どの半導体を使うか個別に決めて交渉、発注していた。スケールメリットで購買力を高めるほか、半導体メーカーに先々の発注イメージを提示しやすくし、安定調達につなげる。
同じような機能の半導体について、設計段階から使う半導体の標準化や汎用化を進める。アナログ半導体など旧世代の技術を使うものは、新しい世代の半導体に切り替えるなど、半導体メーカーの投資に応じて変えていく。
これまでは部品メーカーが個別に設計しており、使う半導体の種類や設計情報などは一元化していなかった。情報を集約することで、トヨタが半導体メーカーと一括交渉できるだけでなく、将来の自動車開発を見据えた発注イメージを共有できるようになる。
2021年初頭から顕著になった半導体不足は少しずつ需給が緩和してきたが、車の知能化に合わせて半導体使用量は増える見通し。調達の仕組みを変えて対応力を高める。
調達改革の効果は出始めている。トヨタは積み増した半導体在庫が尽きた21年秋以降、相次ぎ減産を実施。一時は主要一次部品メーカーに伝えた計画に対し、単月ベースで2―3割減らすこともあった。しかし23年1―3月は計画対比では減ったものの、減産幅は単月ベースで5―10%程度に縮小したもよう。
5月からは減産の予定はなく、夏頃には高水準の挽回生産も計画しているという。国内では納期長期化の解消に向けて生産を重点的に振り向けており、徐々に生産水準が上がっている。
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日刊工業新聞 2023年04月21日