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介護ロボは体験型で普及、最新技術に触れて購入の納得感創出

介護ロボは体験型で普及、最新技術に触れて購入の納得感創出

ベッド上の人(奥側女性)の体位変換などを軽い力でできる介護ロボット(左側女性の背中)を使う。新潟県福祉機器展示室では商品を試すことができる

あおやまメディカル(新潟市中央区、稲毛秀一郎社長)は、介護ロボットの普及を進めている。同社が運営を担う「新潟県福祉機器展示室」(同)は、厚生労働省の「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」の相談窓口のひとつ。さまざまな介護器具を展示・販売するほか、軽い力でベッドに寝た人の体位を変えられるロボットなども体験できる。最新技術に触れてもらうことで購入時の納得感の創出にもつなげている。(新潟・渋谷拓海)

介護現場でも人材不足や職場環境の改善は深刻な問題だ。介護は中腰や前かがみの姿勢が多く、腰痛などになりやすい。毎日続けば慢性化する。2020年からは、新型コロナウイルス感染症の流行で消毒や着替えなどの工程が増え、現場の疲弊感は高まっている。

施設と違って交代できない家庭での介護でも同様の課題がある。超高齢社会に突入する中、介護者の負担軽減は急務だ。その解決策としてロボットへの期待が高まる一方、普及途上のため「介護ロボットについて聞いたことはあるが、よく分からない」という声が多いのも実情だ。

このため、厚労省やNTTデータ研究所(東京都千代田区)などが展開する介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォームでは全国に相談窓口を設置した。介護現場や介護ロボットの評価・効果検証を実施する開発拠点をつなぐネットワーク構築を推進。各機関が連携し、介護ロボットの開発・実証・普及を加速しようとしている。

トイレも紹介する、あおやまメディカルの稲毛将人執行役員営業部長

あおやまメディカルの相談窓口は、新潟県をはじめ隣県の長野県や群馬県が担当地域だ。来場者は毎月200人ほど。一般客の見学もあるが、高齢者介護施設職員が最も多い。介護ロボットを導入しようにも「何から始めたらよいか」「本当にこれでいいか」「施設でうまく使えるか」という疑問に応えるのが役割だ。自治体による介護ロボット導入補助金の相談なども受ける。相談内容によってはメーカーなどに改善を依頼することもあるという。

介護ロボットは比較的高価な商品。ホームセンターに陳列している例も少ないため、体験は購入時の重要な要素となる。例えば、体位変換などを軽い力でできる着衣型ロボットは家庭で使いやすく、また施設職員が常時着用しても疲れにくいよう各社が軽量化を進めている。試着すれば素材の軽さや静かな動作音などを確認でき、高い納得感をもって購入できる。

窓口の営業時間は入居する総合福祉施設「新潟ユニゾンプラザ」(新潟市中央区)の休館日を除く平日10―17時が中心だ。窓口では常時2人が対応し、ノウハウが豊富な業務アドバイザー2人も控える。同社執行役員営業部長でもある稲毛将人業務アドバイザーは「介護ロボット以外の介護用品を見ることが本来の目的でいらっしゃる方が多いが、その流れで介護ロボットも目に入るはず。ぜひ触ってみてほしい」と呼びかけている。

日刊工業新聞 2023年3月30日

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