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スズキ「エブリィ」改造、丸紅などが始める「ガソリン車→EV」事業の中身

スズキ「エブリィ」改造、丸紅などが始める「ガソリン車→EV」事業の中身

航続可能距離が100kmのEVに改造

“ラストワンマイル“照準

丸紅とFOMM(横浜市神奈川区、鶴巻日出夫社長)は、ガソリン軽自動車をバッテリー交換式電気自動車(EV)に改造する事業を4月から始める。ラストワンマイル(目的地までの最後の区間)でのEV化需要を掘り起こす。費用はバッテリーボックスなども含めて180万円(消費税抜き)で、航続可能距離が100キロメートル以上のEVに改造する。EVの導入コストを圧縮するとともに、中古車両を再利用して廃棄車両を減らす。初年度に1000台以上の受注を目指す。

事業はスズキの軽商用車「エブリィ」を改造し、丸紅とFOMMは全国の自動車整備工場と提携して進める。今後、他の車種についても対応を検討する。認定した整備工場に改造キットとバッテリーボックスを販売。整備・点検の拠点にもする。改造に加え、FOMMが開発したバッテリー交換式EVも販売していく。

物流会社を中心にラストワンマイル配送に携わる企業をターゲットに事業を展開する。新車で軽EVを購入すると約240万円かかるが、改造することで導入コストを約25%圧縮できる。

また一般のEVは充電時間に3―4時間必要だが、バッテリー交換式にすると、あらかじめ充電しておけば2、3分間で交換できる。バッテリーボックスを導入することで充電設備など新規インフラコスト削減が可能となる。将来は再生講可能エネルギーの供給も想定する。

両社は国内EC(電子商取引)業者の物流網で、ラストワンマイルの配送車としてバッテリー交換式EVを導入し、配送中に所定の交換地点でバッテリーを交換する実証実験を神奈川県で2月末まで実施した。その次のステップとして今回のガソリン軽自動車をバッテリー交換式EVに改造する事業を始める。

2050年カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)を達成するには、二酸化炭素(CO2)排出量の約20%を占める運輸部門での脱炭素化が不可欠。物流業界では配送車のEV化を進めているが、車両やインフラの導入コスト、充電時間が課題となっている。


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日刊工業新聞 2023年03月24日

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