丸紅がEV廃電池のリサイクル参画、希少金属の再生材料を安定供給へ
丸紅は9日、電気自動車(EV)用廃リチウムイオン電池(廃LiB)のリサイクル事業に参画すると発表した。そのため廃電池リサイクル業者である米サーバソリューションズ(インディアナ州)の株式を取得した。同社の第三者割当増資を5000万ドル(約65億円)で引き受けた。サーバと同社の親会社との連携を強化し、LiBに必要な希少金属の再生材料を安定供給につなげる。
サーバは米国政府から助成金の承認を受けており、今回の増資と合わせて回収した廃LiBをLiBとしてリサイクルする仕組みの構築に向けて設備拡張を加速する。
同社はLiBなどさまざまな廃電池のリサイクル事業を手がけており、廃電池の回収から電池用希少金属再資源化までの一貫した循環型サービスを提供している。丸紅とは共同で廃LiBからニッケルやコバルト、リチウムなどの希少金属を精製し、再生材料としてサプライチェーン(供給網)に戻す循環型事業を開発してきた。
EVの急速な普及に伴って廃LiBが急増する見込みだ。さらに電池用希少金属の採掘による環境負荷の問題から、廃LiBのリサイクル処理と再利用の拡大は不可欠。脱炭素社会を実現するため、自動車業界などLiB生産での再生材料ニーズは増加すると予想されている。
日刊工業新聞 2023年02月10日