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ソニーグループはホンダと連携、参入相次ぐ「EV」勝ち筋はどこか

台湾・鴻海精密工業や中国・小米(シャオミ)など異業種の電気自動車(EV)参入が相次ぐ中、1月にはソニーグループがEV商用化に取り組む方針を発表した。米国の技術見本市「CES」の会場で、吉田憲一郎社長は「移動を再定義できる」と自信を示した。

3月にはホンダとEVの開発、販売やモビリティーサービスの構築に合意。両社が9月に設立したソニー・ホンダモビリティ(SHM、東京都港区)は、2025年に高価格帯EVを発売予定だ。ソニー出身の川西泉SHM社長兼最高執行責任者(COO)は「ソニーが持つコンテンツや操作感(UI)、利用者体験(UX)技術を使い、新しいHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を提案する」と意欲をみせる。

一方で既存の自動車メーカーにとっては、過去の成功体験が必ずしも通用しない状況となっている。ホンダの三部敏宏社長は、ソニーとの提携に至った背景について「モビリティーの革新の担い手は、異業種や失敗を恐れず果敢にチャレンジする新興企業に移行している」と説明する。

ホンダ出身の水野泰秀SHM会長兼最高経営責任者(CEO)は「ホンダは自動車の高付加価値化に取り組んできたが、今後はソフトウエアにシフトすることが生き残りに求められる」と危機感をにじませる。EV化に伴い、ソフトが車の価値を決める流れは強まる。売り切り型ではなくクラウドを介して進化を続け、運転以外のサービスや楽しさも含めて提供できる車が存在感を増していく見込みだ。

ホンダはEV戦略の遅れを取り戻すため、自前主義から積極的なアライアンス戦略にかじを切っている。4月には、米ゼネラル・モーターズ(GM)と量販価格帯のEVを共同開発し、27年以降に投入する計画を示した。

「モビリティー産業が生まれて以来、初めてといわれるほどの大きな変革期」(三部ホンダ社長)の中、多様なプレーヤーによる勝ち筋の模索が続く。


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日刊工業新聞 2022年12月13日

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