ガソリン車→電池交換式EV、ホンダが開発する改造サービスの照準
ホンダはガソリン車を電池交換式電気自動車(EV)に改造するコンバージョンサービスを開発する。交換式電池「モバイルパワーパック(MPP)」を搭載した軽商用電気自動車(EV)バンの試作車を完成。近く、ナンバーを取得して公道での実証実験を始める。トヨタ自動車、いすゞ自動車などが共同出資するコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)とヤマト運輸も電池交換式商用車の開発検討を始めており、成長が予想される新市場の取り込みに向けて競争が激しくなる。(石川雅基)
ホンダはガソリン車の軽商用バン「N―VAN(エヌバン)」を、電池交換式EVに改造した試作車を開発し、工場をはじめとする私有地での試験導入を始めた。車両後部の床にMPPを8個搭載。カバーの開閉やMPPの交換が手動でできる。航続距離は75キロメートル程度。最高時速は70キロメートル以上を目指す。
電池交換式EVは、物流企業のラストワンマイル(目的地までの最終区間)配送や小売店の配達などで需要があるとみる。今後、既販の軽商用バンを電池交換式EV車に改造するサービスを検討。MPPはサブスクリプション(定額制)での提供を想定する。現在、電動2輪車に搭載しているMPPの用途を4輪に広げることで、新たなビジネスモデルの構築やMPPの普及拡大につなげる狙い。
EVは航続距離の短さと充電時間の長さが課題。充電済みの電池に交換するとすぐに走れる電池交換式EVを採用することで、電池固定式EVの課題解決につながる。「電池交換式EVは、電池固定式EVよりも導入価格を抑えられる。今後、対象車種を増やしていく」(ホンダ担当者)という。
CJPTとヤマトは22年7月、電池交換式EVの実用化に向け、検討を始めると発表。「昼に太陽光で蓄電した電池を翌日の配送などに有効活用できる」(ヤマト)とみる。
調査会社のグローバルインフォメーションは、EVの電池交換の世界市場は20年に1億ドル(約130億円)にとどまるものの、年平均24・4%で成長して30年には8億5260万ドルまで拡大すると予測する。
【関連記事】 ホンダが新しいクルマ作りで必ず頼りにする機械メーカー