三菱地所社長に昇格、中島篤取締役の持ち味
三菱地所は16日、4月1日付で中島篤取締役兼代表執行役専務(59)が社長に昇格する人事を発表した。吉田淳一社長(64)は会長に就く。成長領域と捉える海外の不動産開発や、国内外の投資マネジメント事業を加速。東京の大手町・丸の内・有楽町(大丸有)地区の付加価値向上も継承・深耕し、ロンドンやニューヨークと並び立つ都市に育てる。
中島氏は子会社の米ロックフェラーグループインターナショナルで日本人初のトップを務めるなど、豊富な海外経験が持ち味。また経営企画部門も長く、若手から役員まで計13年で3度の中期経営計画策定やリーマン・ショックへの対応、黎明期の不動産証券化などにも取り組んだ。
中島氏は同日の会見で、この先の重点項目に「大丸有を圧倒的に魅力的な空間にすること、グローバル化、持続可能な開発目標(SDGs)への対応」を挙げた。吉田氏は「見識や能力はもちろん、誠実さや実直さを体現したような人。当社の未来を切り開いてくれる」と太鼓判を押した。
【略歴】中島篤氏 86年(昭61)東大法卒、同年三菱地所入社。14年ロックフェラーグループインターナショナル社長兼CEO。18年三菱地所執行役常務、22年取締役代表執行役専務。東京都出身。
素顔/三菱地所社長に就任する中島篤(なかじま・あつし)氏/配慮はするが、忖度しない
「目に見えるものを主体的に作りたい」と考え、不動産業界を志望。三菱地所の“代名詞”である大手町・丸の内・有楽町地区の街づくりはもちろん、仙台市での民間最大規模のニュータウン開発にも触れ「事業の壮大さとそれを進める姿勢に感銘を受け、入社を決めた」と振り返る。
ドメスティックな色合いが強い中、海外事業の拡大をけん引。社内外での存在感を引き上げようと「小さな実績を積み上げ、あらゆる経営資源を引き寄せることを意識した」という。吉田氏は中島氏のことを「配慮はするが、忖度(そんたく)はしない」と評価。高い実行力と視野の広さは社内でも折り紙付きだ。
米国駐在を経て、ビジネスだけに頼る街の弱さを痛感。オフィスに住宅、レストランやエンターテインメントといった要素が複合的に機能する街づくりを志向する。大丸有の開発に携わった経験がないからこそ、斬新な発想で次に挑む。(堀田創平)