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死体から生体へ新型コロナ伝播を防ぐ、東大などが示した新手法

死体から生体へ新型コロナ伝播を防ぐ、東大などが示した新手法

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」(国立感染症研究所提供)

東京大学の河岡義裕特任教授らは、新型コロナウイルスが死体から生体に伝播するのを防ぐ方法を示した。新型コロナに感染したハムスターの死体を非感染のハムスターと24時間同居させると、新型コロナが伝播した。一方で同死体の鼻腔や口腔、肛門などの腔部の封鎖や防腐剤を使った処置をすると、ウイルスは伝播しないことが明らかになった。新型コロナに罹患した遺体と接する時の処置方法などの確立につながると期待される。

国立国際医療研究センターと千葉大学、国立感染症研究所などとの共同研究。成果は、生化学系の米科学誌電子版に掲載された。

新型コロナに感染したハムスターの死体1匹と非感染ハムスター2匹を同居させ、ウイルスの伝播の有無を解析。10グループ中3グループで同死体から非感染ハムスターにウイルスが伝播することが分かった。同死体に人の遺体処置で使われる鼻腔と口腔、肛門を封鎖する処置をしたところ、非感染ハムスターと同居させても10グループ中すべてが死体から生体へウイルスが伝播しないことが明らかになった。また防腐剤で処置をすると、非感染ハムスターと同居させても10グループすべてがウイルスに感染しなかった。

新型コロナで亡くなった患者の遺体から感染が広がる可能性がある。このため、遺体の死後処置方法の確立が課題だった。

日刊工業新聞 2023年01月18日

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