新型コロナウイルス可視化、花王と理研が実現した意義
花王と理化学研究所などは「VHH抗体(らくだ科動物由来の重鎖抗体)」と高輝度蛍光たんぱく質を連結させて、繊維に付着した新型コロナウイルスを容易に可視化できる可能性を見いだした。環境中にある危険なウイルスの存在場所の詳細が分かるようになるほか、ウイルスを不活化・除去する製品の開発に役立つとしている。
花王などは新型コロナウイルスに結合するVHH抗体と蛍光たんぱく質を連結した融合たんぱく質をウイルスの可視化技術に応用。作製した染色ウイルス粒子をポリエステル布に付着させて、蛍光顕微鏡で観察したところ、たんぱく質由来の蛍光を同じ位置で検出できた。この布を洗剤で洗濯すると、蛍光が顕著に減少することも確認した。
これまで同融合たんぱく質を使って、感染後の新型コロナウイルスの動態や感染者への診断への応用を進めてきた。今回、環境中のウイルス粒子の可視化技術への応用を検討。数十ナノ―数百ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズで電子顕微鏡などでしか確認できなかったウイルスを簡便に観察できる可能性がある。
日刊工業新聞 2023年1月12日