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テレワーク時代にオフィス自販機どうする?飲料メーカーが見出した一つの解

テレワーク時代にオフィス自販機どうする?飲料メーカーが見出した一つの解

コカ・コーラボトラーズジャパンのポップガーデン

飲料メーカーが飲料だけでなく食品を扱うサービスをオフィス向けに開発し、需要開拓を強化している。新型コロナウイルス感染拡大で出社率が低下する中、飲料に加えて軽食などの食品も手軽に買える場を作ることで、社員同士のコミュニケーションの場を創出しながら、販売拡大の相乗効果を狙う。(高屋優理)

コカ・コーラボトラーズジャパンはオフィス向けのキャッシュレス無人売店「POP GARDEN(ポップガーデン)」を1月から本格展開する。ポップガーデンは飲料に加え、菓子やカップ麺などの軽食も販売する無人売店。スマートフォンで2次元コード(QRコード)を読み込んで商品を選択し、購入する。決済はQRコード決済かクレジットカードでキャッシュレスで行える。利用人数が300人を超える場合はオリジナルの電子マネー決済端末も提供する。食品は約250種類の中から、設置先の従業員の構成やニーズに合わせて提案する。

コカ・コーラボトラーズジャパンでは、職場のコミュニケーションを活性化するなどオフィス環境の充実を目的にサービスを開発。20年12月からテスト販売を開始し、100カ所で展開してきた。当初はQRコードを利用した決済のみだったが、テスト販売期間中に電子マネーも使えるようにしてほしいという利用者の声が多かったため、オリジナルの決済端末を開発したほか、百貨店を中心に展開する「鶴屋八幡」のようかんなど高価格品を商品ラインアップに取り入れた。若林奈津子オフィスソリューション推進部部長は「コンビニとの競合になるので、差別化を図る意味でも角度をずらした商品を置いている」と話す。

サントリー食品インターナショナルのボスマート

先行して展開しているサントリー食品インターナショナルのオフィス向け軽食販売自販機サービス「ボスマート」は、自販機を決済システムとして活用し、食品も販売するサービスだ。自販機は内部の冷蔵庫の部屋数に比べてボタンの数が多い機種がほとんどであるため、余剰のボタンを食品の決済機能として活用することで、サービスを広げた。同社はセルフレジのプログラムを開発し、特許を取得して実用化した。ボスマートはオフィス内で軽食が手軽に買える利便性などが好評で、22年に目標の1万2000台の導入を達成した。

新型コロナウイルス感染拡大の行動制限により、20年の自販機の飲料の販売数量は前年比15%減と大きく落ち込み、21年も横ばい状況だ。減少の主因となったのがオフィス内の自販機で、テレワークの普及による出社率低下が影響している。

サントリー食品インターナショナルの須野原剛ジャパンVM事業本部マーケティング部長は、「法人の課題を解決するサービスを開発していく必要がある」と話す。厳しい市場環境の中でオフィスの潜在需要を模索した結果、飲料にこだわらず食品も提供するというのが、一つの解になっているようだ。

日刊工業新聞 2023年01月04日

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