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マイクロ波を用いて製造時エネルギー消費量の半減見込む「CF製造」ってなに?

三井化学とマイクロ波化学が実証設備を新設
マイクロ波を用いて製造時エネルギー消費量の半減見込む「CF製造」ってなに?

三井化学の名古屋工場に導入する実証設備(イメージ)

三井化学とマイクロ波化学は、マイクロ波を用いて製造時のエネルギー消費量の半減を見込める革新的な炭素繊維(CF)製造技術の実証設備を新設する。約20億円を投じ、三井化学名古屋工場(名古屋市南区)内に2023年12月に完成する。脱炭素ニーズを受け、CFは軽量化部材ながらエネ消費量の多さで逆風となる。同設備で数年かけて新技術を作り込み、将来のCF利用を後押しする。

CF製造は、繊維を200―300度Cで加熱して硬くする「耐炎化」と1000度C超で加熱する「炭化」の2段階ある。現在は繊維の焼き切れ防止のため耐炎化時にゆっくり加熱しており、エネ多消費の要因だった。

新技術「カーボン―MX」は、電子レンジに使われる電磁波のマイクロ波を使い、ピンポイントで繊維を加熱する。現行法と違い炉全体を加熱しないため、エネ利用が効率的で、炉内の除熱や温度制御により熱暴走を防ぎやすい。このため、加熱時間の大幅な短縮や装置の小型化、安全性向上を実現できる。

均一加熱による従来に比べ高品質な炭素繊維の製造や装置のコスト低減も期待できるといい、今後検証する。また、再生可能エネ由来電力の利用で90%以上の二酸化炭素排出量削減も可能。

ビジネスモデルは未定で、実証実験と並行して検討する。

日刊工業新聞 2022年11月17日

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