CFRPの炭素繊維・樹脂を再利用するスゴい技術の仕組み

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エポキシ樹脂が溶出中のCFRP。上層が水系溶媒でグルタチオンが溶けていてエポキシ樹脂を分解。下層が油系溶媒で分解されたエポキシ樹脂が集まる(物材機構提供)

CFRPの炭素繊維・樹脂を回収・再利用

エポキシ樹脂が溶出中のCFRP。上層が水系溶媒でグルタチオンが溶けていてエポキシ樹脂を分解。下層が油系溶媒で分解されたエポキシ樹脂が集まる(物材機構提供)

物質・材料研究機構(物材機構)と新構造材料技術研究組合(東京都千代田区)は熱硬化性のエポキシ樹脂を還元してリサイクルする技術を開発した。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の炭素繊維とエポキシ樹脂を分離し、それぞれ回収し再利用するプロセスを提案する。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標12の5「2030年までに廃棄物の発生防止、削減、再生利用および再利用によって廃棄物の発生を大幅に削減する」に貢献する。

「グルタチオンはサプリメントにもなっている。身近なペプチド(アミノ酸の集合体)で循環型社会を実現したい」と物材機構の内藤昌信グループリーダーは力を込める。エポキシ樹脂をグルタチオンで洗うと、エポキシ樹脂がバラバラになり溶けて回収されるリサイクル技術を開発した。エポキシ樹脂は接着剤や塗料、CFRPなどに広く使われる。グルタチオンは体内では抗酸化物質として働くペプチドだ。グルタチオンのチオール基は相手の分子を還元する効果がある。

回収した炭素繊維(物材機構提供)

リサイクル実現のポイントは、硫黄原子が二つつながったジスルフィド結合の入ったエポキシ樹脂でCFRPを作ったことだ。このジスルフィド結合をグルタチオンが還元して分解する。グルタチオンは水に溶け、分解されたエポキシ樹脂は油に溶ける原理を利用してグルタチオンとエポキシ樹脂を分ける。ジスルフィド結合は髪の毛のパーマやゴムの架橋にも利用される。身近な化学反応でリサイクルが難しかったCFRPを再利用する。

CFRPは軽くて強い構造材料だが、鉄やアルミなどの金属に比べてリサイクルが難しかった。自動車などでは軽量化で燃費を改善する効果も、資源を再利用できないとなると、環境負荷の面では本末転倒になりかねない。だが炭素繊維と樹脂を再利用できれば突破口になる。

内藤リーダーは「仕組みは単純。CFRPに限らずさまざまな材料に応用したい」という。さまざまな樹脂製品がリサイクルを前提に作られる時代に向け、社会を支える技術になる。

日刊工業新聞2022年1月27日

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