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食品軟包材を再生、三井化学が国内で初めて本格導入した「インク除去設備」の実力

三井化学は名古屋工場(名古屋市南区)に食品包装向け軟包材のインクを除去するリサイクル設備を導入し稼働した。本格導入は国内で初めて。食品包装フィルムへの再利用を視野に、実証実験を通じて除去技術を向上し、2024年度に事業化を目指す。軟包材はプラスチックゴミの約4分の1を占めており、環境対策が求められている。

印刷除去設備の処理能力は年400トンで、再生プラ造粒設備の生産能力は同1200トン。発表前商品の印刷物も廃フィルムとして混在する可能性を想定し、両設備と廃フィルム置き場を一つの建屋内で完結させ、入退室管理を徹底した。

収益性やコストに直結する回収規模も重要な指標だ。事業化時、年200トンの回収を想定する。欧州では非再生プラ包装材にキログラム当たり100円程度の税が課せられており、同等水準のコストを将来のリサイクル目標とした。

また、再生プラを新ブランド「リプレイヤー」として訴求し、再生プラの受け入れられやすい環境を整える。

国内の軟包材廃プラ量は年200万トンで、流通前の廃棄は同30万トン。単層の廃フィルムは年5000トン。まず同社は同フィルムのリサイクルを着実に行い、その後、ラミネートフィルムなどへ対象を広げ、資源循環の一翼を担う計画だ。

日刊工業新聞2022年5月27日

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