「脱炭素」に向け動き出す世界。対応する自動車メーカーのロードマップ
脱炭素に向け世界が動き出した。自動車メーカーにとっては電動化が最大の経営課題になった。各国・地域の環境規制をにらみ、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の拡充に動く。各社はどのようなロードマップを描き、どのような提携戦略で電動化に臨むのか。
エンジン車“禁止”方針示す
各国・地域が規制強化の節目に位置付けるのが35年だ。欧州連合(EU)の欧州委員会は7月、同年にエンジン車の新車販売を事実上禁止する包括案を示した。
HVが普及する日本では、政府が同年までに乗用車の新車販売をすべてHVを含む電動車に切り替える目標を打ち出した。中国では自動車エンジニア学会が同年までに新車の50%をEVや燃料電池車(FCV)などの新エネルギー車に、残りの50%をエンジン車からHVに切り替える計画を発表。中国政府の政策を支える重要材料になるとされる。
各社は30年にらむ 新車販売、EVなど70%目標に
自動車各社は30年を一つの基準に電動化戦略を加速する。トヨタ自動車は同年に電動車の世界販売を800万台程度とする新たな目標を5月に発表した。内訳はEVとFCVが約200万台、HVやPHVが約600万台。従来は25年ごろに電動車販売を550万台以上にする目標だった。
欧米勢では独フォルクスワーゲン(VW)が30年までに欧州で新車販売に占めるEVの比率を70%、仏ルノーも同年までに同比率を90%、独BMWは同年までに世界で同比率を50%に高める目標を掲げる。
仏グループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が統合した欧州ステランティスは、同年までにEVとPHVの新車販売比率を欧州で70%以上、米国で40%以上に引き上げる計画だ。米フォード・モーターは同年までに世界で販売する新車の40%がEVになると予想する。
脱エンジン 米GM・35年 ホンダ・40年
30年以降では日産自動車が30年代の早期に日米欧や中国などの主要市場に投入する新車をすべてEVやHVといった電動車にする計画を1月に示した。米ゼネラル・モーターズ(GM)は35年までに世界でエンジン車の生産と販売を終了し、EVやFCVに切り替える目標を掲げる。
40年ではホンダが世界で販売する新車をすべてEVやFCVにする目標を4月に公表した。HVも販売しない方針で、日系自動車メーカーで初めて「脱エンジン車」の方向性を打ち出した。
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