電子部品メーカーが量産に乗り出した全固体電池、それぞれの特徴は?

電池の本命 全固体 #2 電子部品で実用化進む 小型生かし装着端末に

  • 0
  • 18
TDKは各社に先駆けて昨年2月から全固体電池の量産を開始した

先駆けて量産

電子部品メーカーは他業界に先駆けて全固体電池の量産に乗り出した。自社の既存生産技術を使った小型で大容量を特徴とするもので、高い安全性が求められる、身に付けて利用するウエアラブル端末向けやスマートフォン向けなどで市場を開拓する狙いだ。

電子部品業界は自動車関連や通信機器関連への依存度が高いが、幅広い産業での活用が予想される同電池により、新たな成長の柱が生まれるのか注目されている。

2020年からTDKや村田製作所、FDKが全固体電池の生産を始めた。21年内にはマクセル(東京都港区)と太陽誘電が量産を開始する予定。21年度は電子部品メーカーによる全固体電池ビジネスが本格化する。

厚さ1−6mm

各社は積層セラミックコンデンサー(MLCC)の積層技術など既存の生産技術を応用して全固体電池を開発。大半が表面実装可能なタイプで、セラミック固体電解質を使用し、液漏れや爆発、火災の心配がないことが特徴だ。サイズは、縦4ミリ―10ミリメートル、横が3ミリ―10ミリメートル、高さが1ミリ―6ミリメートルと小型。日本製を売りに、信頼性の高さを訴求する。

次の段階として各社は、バリエーションを増やすための開発に着手する。

TDKは今後、利用用途を広げるため「コイン形や、既存品よりもう少し大きな表面実装型を開発したい」(石黒成直社長)としている。

村田製作所は容量が現状比20―30%大きいタイプの開発を進めている。長時間利用前提のワイヤレスイヤホン向けで21年の早い段階には量産を検討する。将来は「ワイヤレス充電IC(集積回路)などと組み合わせてモジュールを一体化して提供したい」(モジュール技術統括部)と見据える。

硫化物で優位

マクセルは他社との差別化として硫化物系固体電解質を使った直径9・5ミリ×高さ2・65ミリメートルコイン形の開発を進めていたが、さらに表面実装型も開発した。「硫化物系固体電解質は容量と出力で優位性がある」(中村啓次社長)としている。

安全性向上や長寿命という全固体電池の特徴は、事故撲滅や電動化による環境負荷軽減など世の中の流れを見ても普及は確実なようにみえる。

だが電子部品各社の全固体電池は小型が特徴で、ウエアラブル端末やスマホなどターゲット分野も似通っている。今後、生産体制の強化や製品自体の差別化がシェア獲得のカギとなる。

ニュースイッチでは、全固体電池に関連したオンラインイベント「『全固体電池入門の入門』第3回 材料メーカーから見た課題とロードマップ」を開催します。
固体電解質のリーディング企業で、その研究開発の最前線に立つ三井金属鉱業株式会社 事業創造本部の高橋司氏を講師に招き、当事者である材料メーカーの生の声をお届けします。
量産化への課題は何か、硫化水素の発生問題にどう対応するか、国内外メーカーの動向は?
高橋氏と日刊工業新聞の担当記者が、技術とビジネス両方の視点から解説します。

2021/9/3(金) 14:00 ~ 15:30
<<申し込みはこちらから>>
一般 :¥5,500(税込)   第1回・第2回参加者(2回とも参加された方のみ対象) :¥4,400(税込)
※第1回(5月21日)と第2回(7月2日)の両方に参加された方は、特別料金(1,100円割引)にてお申込いただけます。お申込方法は、別途お送りしているメールをご確認ください。
申し込み締切 2021年9月2日(木)12:00

日刊工業新聞2021年4月22日

特集記事

全固体電池がクルマに採用される課題は?トヨタや日産が今考えていること (2021年04月26日公開)
電子部品メーカーが量産に乗り出した全固体電池、それぞれの特徴は? (2021年04月27日公開)
日本がリードし続ける全固体電池、「材料」最先端研究の今 (2021年04月28日公開)
ホンダやサムスンで活躍した技術者に聞く。「全固体電池」日本・中国・韓国の現在地 (2021年04月30日公開)

関連する記事はこちら

特集