次世代電池の大本命「全固体電池」、EV搭載には量産技術の確立がカギ

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村田製作所の全固体電池

最近、次世代電池と言えば全固体電池のことだ。この電池はリチウムイオン電池の主要4部材の正極材、負極材、電解質、セパレーターのうち、電解質を固体に変えたものだ。これまで電解質などの改良はさまざまなメーカーが行ってきた。

2013年時点のNEDOのロードマップでは、30年頃にはリチウムイオン電池系はエネルギー密度の性能限界から技術のブレークスルーが必要となり、金属・空気電池などの革新的な電池が開発される想定だったが、現時点での最先端の電池は全固体電池で、これはリチウムイオン電池を応用したものだ。

全固体電池は、(1)安全で、(2)エネルギー密度が高く、(3)作動温度範囲が広く、(4)設計の自由度が高い上、(5)劣化し難く、(6)液漏れもせず、(7)超急速充電が可能、と利点が多い。ただ量産技術が確立されておらず、依然コストが高く、リチウムを使用するため、中国など特定の国に依存していることが課題となっている。

リチウムイオン電池は、19年に旭化成名誉フェローの吉野彰氏が同電池の生みの親として、ノーベル化学賞を受けたことでも分かるように、これまで研究開発で日本が先行していた。

特に部材の分野ではデータの蓄積で依然一歩リードしていると言える。それは全固体電池についても然りだ。ただリチウムイオン電池では、量産によるコストダウンで中国や韓国勢にシェアを大きく奪われた。

世界最大の電気自動車(EV)市場を背景に、中国のCATLが世界最大のEVバッテリーメーカーとなり、EV生産も行うBYDは電池供給でも躍進し、韓国のLG化学やサムスンSDIなども追随する。

この構図は、かつて半導体や液晶テレビ、太陽光パネルで起こったことに酷似している。

日本政府も危機感を抱き、20年12月8日に閣議決定した総合経済対策で、全固体電池の研究開発に数千億円規模の生産開発補助を検討していることを発表。次世代電池として期待される全固体電池で優位に立つべく取り組んでいるが、その通りになるかは今後の開発次第だ。

中国のCATLも全固体電池を開発中だが、現行の液系リチウムイオン電池を効率良く使いこなすことが、コスト面でも航続距離の面でもEVにとって最善で、商品化については30年以降との考えを持つ。

トヨタ自動車は、全固体電池搭載EVを20年代前半に販売する方針だが、EV価格を考えると、量産技術を確立し、どうコストダウンするかがカギになるであろう。

(文=SMBC日興証券第二公開引受部IPOアナリスト課・坂本博信)
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日刊工業新聞2021年1月20日

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