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外食で最高水準の原価率、スシローはどこまで成長するのか

中長期的な海外での成長も
外食で最高水準の原価率、スシローはどこまで成長するのか

同社公式動画より

 スシローグローバルホールディングスは国内で「スシロー」の屋号でロードサイド型回転ずし店を直営で展開している。主な商品は100円均一、直営展開の外食では最高水準とみられる原価率の設定、店内加工比率を高めることで商品の品質と鮮度を訴求している点が特徴である。回転ずし業界に占める2016年国内シェアは24%と業界首位である。

 同社の社是は「うまいすしを、腹いっぱい。うまいすしで、心もいっぱい。」である。これを実現するための「原価率約50%の方針」は主要株主や経営者が交代しても創業時から変わっていない。17年9月期の売上高原価率は48%(ほぼ50%)と外食企業の中では最高水準とみられる。

 日本における回転ずし業界は10年から15年にかけて年率5%成長と、市場規模が5000億円を超える外食業態の中では最も成長率が高い。ロードサイドへの出店に加えてサイドメニューの充実を図ることによって立ちずし(回転しない一般的なすし屋)に加えてファミリーレストランをはじめとした他の業態からファミリー層を奪って既存店売上高も相対的には堅調に成長してきたと考えられる。

 17年10―12月期の営業利益は前年同期比28%増の27億円であった。高単価商品の売り上げが好調に推移し、既存店売上高は同1・2%増(野村証券推計)と堅調に推移した。原料価格が上昇しても調達の工夫やミックス改善、一部商品の価格改定などにより影響を吸収し売上総利益率は同横ばいに抑制。人件費が上昇する中でも採用の工夫やITや機械の活用などによる生産性の改善などにより、売上高人件費率は低下したもようである。

 18年9月期の営業利益は前期比9%増の100億円と過去最高益の更新を予想する。鮮魚、米、のりなどの原材料に加え人件費の上昇も見込まれ、回転ずし業界を取り巻く短期的な環境は決して好ましくはない。

 しかし仕入れの工夫による原価改善やIT・機械の活用などによる生産性改善の余地は大きいとみられ同社は回転ずし業界の中でも積極的にそれらに取り組んでいる。

 回転ずしは日本の外食産業の中でも「日本発」であることに特に付加価値があるとみられるコンテンツである。元気寿司やくらコーポレーションに続きスシローグローバルHDも海外展開を積極化させており、韓国に進出済み、18年9月期中には台湾で数店舗の出店を計画している。中長期的な海外での成長に期待したい。
(文=皆川良造 野村証券エクイティ・リサーチ部) 
日刊工業新聞2018年2月28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
回転すしで国内最大手のあきんどスシローと、同業界5位で神明の子会社「元気寿司」が経営統合する方向にある。国内に強いスシローと海外に強い元気寿司というメリットもある。一方で統合を主導するコメ卸最大手の神明。SGHの第2位株主である全農とも関係も気になるところ。

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