日本企業で2050年「CO2ゼロ」宣言が相次ぐのはなぜ?

ESG投資・SBTの登場により重みを増す

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写真はGE Reports Japanより

金融業界からの要請


 金融業界も環境長期目標を求めている。企業に長期目標づくりを提唱してサステナビリティ日本フォーラムの後藤敏彦代表理事は、「3年単位の経営計画ではESG(環境・社会・企業統治)投資に耐えられない」と指摘する。

 ESG投資は環境や人権への配慮、経営の透明性などを基準とした投資。ESGがしっかりしていると将来の環境規制に対応でき、不正を犯す恐れがなく、持続的に成長する力を備えていると評価できる。株式を長期保有したい欧米の年金基金などで広がっている。

 環境の長期目標がESGの要素となる。CO2削減目標があれば、カーボンプライシング導入時のコストを意識して経営していると判断できる。再生エネの導入目標は、将来の化石燃料価格高騰への対策と評価できる。長期視点で経営を支援してくれる投資家と対話するためには、環境長期目標が欠かせない。
 

 世界の産業界で急速に関心が高まっている「サイエンス・ベースド・ターゲッツ(SBT)」も、長期目標の策定を後押している。SBTは世界自然保護基金、CDPなど環境NGOが主導し、気温上昇を2度C未満に抑えるための科学的知見と整合した目標を承認する。

 世界では289社がSBTに賛同している。ソニー、コニカミノルタなど日本の7社の目標がSBTとして認められ、富士通、積水ハウスも承認を目指す。積水ハウスの石田常務執行役員は「SBTはグローバルにわかりやすい」と話す。

 環境目標の中身は企業の裁量に任されてきたが、SBTが注目され、社会からも納得してもらえる目標が求められている。環境目標は経営目標とは別と思われていたが、ESG投資の登場により、一体化が迫られている。今までにないほど、環境目標の重みが増している。

日刊工業新聞2017年7月21日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

 環境目標がお飾りになっている企業が多いかもしれません。SBTは企業が自由に作っていた環境目標を「世界標準」で見比べる仕組みと理解しています。「環境先進企業」という言葉も良く聞きますが、こちらも定義がありません。それがSBTの登場によって長期目標を持たない会社は、環境先進企業として認められない状況が作られようとしています。もちろんSBTは規制ではないので、承認を目指す、目指さないは自由です。

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