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【今週のリケジョ小町】初の女性一等機関士、夢は機関長

JR九州高速船株式会社 和田 彩見さん
**高速船の一等機関士
「学生時代にマグロ漁を経験しました」と笑顔で話すのは、JR九州高速船(福岡市博多区)の和田彩見さん(25)。博多港と韓国・釜山港を結ぶ高速船「BEETLE(ビートル)」に乗り、同社初の女性一等機関士として活躍している。ガスタービンエンジンや船内に電気を供給する発電機などを点検する。海上では船長の横で前方に障害物がないか目を光らせる。将来の目標である機関長に向け、日韓をつなぐ安全で快適な船旅を支える。

お客さまの命を運ぶ


「福岡県出身です。小学生の頃に鹿児島県の種子島に山村留学しました。船に乗る仕事をしたいと思うようになったのは、その時の里親が漁船に乗せてくれたからです。高校は普通科でしたが、夢をかなえるため山口県下関市の水産大学校海洋機械工学科に入学しました。印象深いのは大学4年時に参加した豪州への長期航海。真っ暗な空に南極星が輝いていました」

「現在の仕事はお客さまの命を運んでいるので責任を強く感じます。船舶によって異なるエンジンを使うなど使用機器にも違いがあり最初は戸惑いました」

「入社してから幸いにも大きなトラブルには遭遇していません。機関長は油漏れなど見落としやすい点にも気付きます。もっと経験を積んで将来は機関長を目指したいです」

目覚ましは四つ鳴らす


「出港の2時間半前の朝早くに出社してエンジンの試運転などの準備をするため、目覚ましは必須。四つ鳴らします。出航後は船長の隣でエンジンの出力調整や漂流物のチェック、機器のトラブル対応に備えます。座席案内でお客さまと接することもあり、「ありがとう」と声をかけてもらえるとうれしいですね」

「車の運転が好きで、休日はマニュアルの愛車で九州の道の駅を巡ります。九州・沖縄に130以上ある道の駅を制覇済みです。地域の特産品など新たな発見が楽しいですね。鹿児島県の阿久根市で食べたウニの海鮮丼は絶品でした」
 
日刊工業新聞2017年7月17日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
昔の民間伝承では女を漁船に乗せると縁起が悪いとされていたようですが、今では多くの女性が船上で活躍しています。ビートルに乗ると3時間ほどでプサンに到着します。

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