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他社からの乗り換え6割。存在感の薄かったスバル「XV」はなぜ蘇ったか

街乗りとレジャー利用を両取り
他社からの乗り換え6割。存在感の薄かったスバル「XV」はなぜ蘇ったか

新型SUV「XV」と吉永泰之社長

 SUBARU(スバル)は、全面改良し5月24日に発売したスポーツ多目的車(SUV)「XV」が発売後1カ月間で受注台数が1万1085台に達した。月販目標の約5倍に相当する。受注のうちスバル車以外の車種から乗り換えた顧客が全体の約6割を占めた。

 受注台数の内訳は排気量2000ccのエンジン搭載モデルが全体の約8割を占め、新たに追加した同1600ccモデルが約2割となった。受注を世代別に見ると50代が23%、40代が21%、60代が21%、30代が15%と続いた。女性の構成比率は16%となり、16年度のスバル車の平均12%を4ポイント上回っている。

 XVはスバル車の中でデザインが支持されている車種でもある。特に先代で好評だったアルミホイールのデザインにこだわり、地面を突き刺すアンカーをモチーフにした。手裏剣のような形で人の目を引くインパクトのある仕上がりになった。

 衝突安全性と走行性能を底上げした新車台「スバルグローバルプラットフォーム」採用の最初のSUV。コンセプトは「ファンアドベンチャー」。街の中での使いやすさと旅行やスポーツなどレジャーシーンでの走行も楽しめる本格SUVの機能を両立させた。

 ターゲット層は日々の生活をアクティブに過ごしたい人全般。現状は都会で車を利用することが多いが「いつかはアウトドアを楽しみたい」と潜在的に考えている方の獲得も狙っている。

 スバルはSUV分野で「レガシィアウトバック」、フォレスター、XVを展開しているが、XVはこれまでインプレッサの派生車という位置づけで、特に国内での存在感が薄かった。

 新型ではこれを打破し「スバルの国内最量販SUVに育てたい」(商品企画本部プロジェクトゼネラルマネージャー・井上正彦氏)という強い思いで開発に臨んだという。
日刊工業新聞2017年6月30日の記事を加筆・修正
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
今後はアウトバックは上級路線、フォレスターは本格SUV、XVはスポーツ&カジュアルといったように、各SUVモデルの個性を際立たせる商品戦略を追求し需要を取り込む戦略だ。 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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