SUBARU新型「アイサイト」は人の運転に近づいた!

自動運転は“質の時代”に

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 SUBARU(スバル)は「アイサイト」に高速道路で渋滞時を含めて先行車に自動追従できる「ツーリングアシスト」を追加、今夏にスポーツ車に搭載して発売する。独ダイムラーや日産自動車などに続くもので、人の運転感覚に近い車体制御を実現したのが特徴だ。自動運転技術は前走車追従、自動停止といった機能だけでなく、乗り心地や快適な運転といった“質”が問われる段階に差し掛かっている。

 日本自動車研究所のテストコース(茨城県城里町)で改良版アイサイトを搭載した試験車両に担当ドライバーと同乗した。ドライバーがステアリングの新機能のスイッチを入れると、時速20キロメートル程度で走行する先行車両に自動で追従を開始。カーブではステアリングが自動で傾いていることがわかる。

 アクセル、ブレーキは操作していない。驚いたのは運転が上手なドライバーの車に乗ったような乗り心地を味わえることだ。

 ツーリングアシストは渋滞時に運転手がステアリング、アクセル、ブレーキを制御しなくても車線からはみ出さずに前方車両に自動追従する。現行アイサイトも同様の機能を備えるが、時速60キロメートル以上で作動するよう設定されており、渋滞時の低速走行に対応していなかった。

 スバルは新機能の実現に向けて「道路の白線」と「先行車」の2種類の認識情報を併用するソフトウエアを開発、アイサイトに搭載した。白線が見える場合は白線を、混雑時などに白線が一部途切れて見える場合は残りの白線と先行車の両方を認識。渋滞時に白線が全く見えなくなった場合は先行車のみを検知して制御し自動追従する。

 ドライバーが違和感なく新機能を使えるステアリング、アクセル、ブレーキの制御機能の高度化にもこだわった。自動追従機能はステアリング制御や加減速を考慮しないと、機械的なぎこちない動きになり乗員が疲れてしまう。
           

 これまでの車づくりのノウハウや28年間に及ぶステレオカメラを使った運転支援技術の知見を生かし、運転手がより自然で快適なステアリング制御や加減速を感じられる新しい独自のソフトウエアも組み込んだ。「人が使って気持ちがいい、理想的な車体制御に近づいたと思う」と、大拔哲雄常務執行役員は手応えを話す。

 自動運転技術の高度化競争は年々激しさを増している。基本機能である車と歩行者などとの衝突を回避する自動ブレーキは軽自動車を含め採用が急拡大。国土交通省も日本で販売する車の自動ブレーキの搭載を義務付ける検討を始めた。

 ツーリングアシストのように、高速道路や自動車専用道路を全車速域で前方車両を自動追従する機能は政府が掲げる自動運転技術の「レベル2」に相当する。独ダイムラーや米テスラ、日産などもカメラやレーダー技術の搭載車を販売している。

 自動運転技術の高度化に欠かせないセンサーやソフトウエア技術をめぐるサプライヤーの動きもめまぐるしい。仏ヴァレオは独アウディ向けに赤外線で人や物を高精度に認識するレーザースキャナーの量産を始める。

 画像処理に強みをもつイスラエルのモービルアイや米エヌビディアは完成車メーカーと相次いで提携。存在感を高めている。

 こうした中、アイサイトの開発に携わった先進安全設計部の丸山匡主査は「各社の車の開発思想に基づいたソフトウエアによる“味付け”が機能を差別化する上で重要になってくるだろう」と指摘する。
           

 スバルは2020年に高速道路で車線変更も含む自動運転技術を実用化する計画だ。ステレオカメラに加え、後方車両をとらえるセンサーなどを搭載する。「できる限りシンプルな構成にし、普及しやすい価格で提供したい」(大拔常務執行役員)。北海道のテストコースの改修など研究開発体制も強化し、安心して使える自動運転技術を追求する。

 自動運転技術が普及する一方、運転手に正しい利用を促すメーカー側の取り組みも欠かせない。自動運転技術への過信が事故につながるからだ。昨年5月に米テスラの自動運転機能を利用中のドライバーに死亡事故が発生した。こうした事故の背景には自動運転技術の間違った理解や、機能の過信があることが考えられる。

 対策として考えられるのが運転手と車をつなぐ「インターフェース」の改善。ドライバーの監視下で利用する必要がある「レベル2」搭載車は、ハンドルを手放しにするとランプで注意するシステムなどを搭載している。だが各社はまだ手探りの状態。より直感的に自動運転機能の作動状況が分かる進化が求められる。

(文=下氏香菜子)

日刊工業新聞2017年6月19日

COMMENT

販売店が丁寧に自動運転技術を説明する取り組みも重要。スバルはアイサイトを発売した08年から、「接客時の説明にかなりの時間を割いている」(細谷和男専務執行役員)。スバルは“自動運転”ではなく、“高度運転支援システム”という名称で技術を紹介。ユーザーの誤解を防ぐ考えだ。 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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