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セルロースナノファイバー混合でメッキ部品

日立マクセルが車のドアノブ試作
セルロースナノファイバー混合でメッキ部品

自動車ドアノブの試作品(左は光沢、右はサテン調)

 日立マクセルは微細な木質繊維(パルプ)であるセルロースナノファイバー(CNF)を混合したポリアミド6(ナイロン6)を射出発泡成形し、樹脂メッキ部品に加工する複合材料化技術を開発した。化学処理したパルプを原料とするCNFは金属イオンを吸着しやすいため、メッキ反応が速まって基材に深く浸透し、発泡による低密度化を補う強度向上効果も期待できる。

 CNF複合材料の用途として、最も大きな期待を集めるのは自動車部品。日立マクセルは車体の軽量化で環境負荷低減を狙う環境省のコンソーシアム「NCV(ナノ・セルロース・ビークル)プロジェクト」に参加している。

 同プロジェクトの一環で独自の低圧発泡成形法とパラジウム(Pd)イオンメッキを組み合わせ、CNFを約2%配合したナイロン6樹脂を使って自動車のドアノブを試作した。

 低圧発泡成形は超臨界状態の二酸化炭素や窒素を樹脂に溶解し、射出成形機のシリンダー内で減圧して金型へ送り込み、発泡させる物理発泡成形法の一種。従来法に比べ低圧で発泡させるため装置がシンプルで、圧力制御が容易なのが特徴だ。

 「ナイロン6は低圧でも微細に発泡し、CNFを混ぜることで均一性が高まる」(遊佐敦日立マクセル開発本部複合樹脂新規事業化PJ副技師長)という。

 一方、Pdイオンメッキは比較的安価な塩化パラジウムを使う無電解メッキで、通常の湿式メッキ設備が利用できる。メッキ反応が初期状態のサンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)分析し、CNF凝集体の内部や周りにメッキ膜の成長起点となる核が多数発生していることを確認した。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
今後は複雑形状の部品でも確実にメッキ膜を形成できる加工方法の工夫や大型部品への対応を進めていくという。

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