「ボーイングVSエアバス」LCC市場で火花
需要の7割、新機種開発で競う
米ボーイングと欧エアバスの2大航空機メーカーが、拡大する格安航空会社(LCC)市場をめぐって激しいつばぜり合いを演じている。今後10―20年の航空機需要は小型機を軸に伸びる。その小型機を大量購入するのが新興国などのLCCだ。ボーイングやエアバスは小型機の開発競争を繰り広げるほか“航空機版IoT(モノのインターネット)”とも言える新しいサービスも打ち出す。2大メーカーの競争はLCCの台頭で新たな局面に入る。
パリ北東部のル・ブルジェ空港で開催中の航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」。今回は、これまで以上にLCCをターゲットに据えた発表が相次いだ。小型機の主な購入者は東南アジアや中国のLCC。経済成長に伴う旅行需要の拡大に対応し、LCC各社は機数や機種のバリエーションを増やしている。
ボーイングは新型小型機「737MAX」シリーズで胴体が最も長くなる新機種「737MAX10」を開発すると表明した。
現在最長の737MAX9より1・68メートル長くなり、最大座席数は12席増の230席にできる。ケビン・マカリスター民間航空機部門社長兼最高経営責任者(CEO)は「単通路型機では最も経済性の良い機種」と鼻息が荒い。
実はボーイングは新世代の小型機分野では劣勢の立場にある。エアバスの新型小型機「A320neo」シリーズは5月末時点で5053機もの受注を獲得している。対する737MAXシリーズは約3700機。大きく水をあけられており、737MAX10で巻き返しを狙う。
主力小型機の競争で一歩先を行くエアバスは新たな動きを見せる。パリ航空ショー会場で打ち出した新サービス「スカイワイズ」。エアバス機の運航実績データを収集・分析。燃費を改善する操縦方法を提案したり、故障時期を予見したりできるようになる。
そのサービスの第1号顧客として参加する4航空会社の中には、マレーシアのエアアジアや日本のピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)などLCC3社が名を連ねる。ピーチ・アビエーションは保有する18機全てがA320で、2016年にはA320neoなど13機を発注したエアバスの得意先。今回、航空機版IoTとも言える次世代サービスを先行提供するあたりにもLCCを重要視する姿勢がうかがえる。
ボーイングはパリ航空ショーで発表した36年までの20年間の民間航空機の新型機需要4万1030機のうち、実に7割が単通路機、つまり小型機が占めると予想する。LCCをめぐる2大メーカーの競争は、さらに熱を帯びそうだ。
パリ北東部のル・ブルジェ空港で開催中の航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」。今回は、これまで以上にLCCをターゲットに据えた発表が相次いだ。小型機の主な購入者は東南アジアや中国のLCC。経済成長に伴う旅行需要の拡大に対応し、LCC各社は機数や機種のバリエーションを増やしている。
ボーイングは新型小型機「737MAX」シリーズで胴体が最も長くなる新機種「737MAX10」を開発すると表明した。
現在最長の737MAX9より1・68メートル長くなり、最大座席数は12席増の230席にできる。ケビン・マカリスター民間航空機部門社長兼最高経営責任者(CEO)は「単通路型機では最も経済性の良い機種」と鼻息が荒い。
実はボーイングは新世代の小型機分野では劣勢の立場にある。エアバスの新型小型機「A320neo」シリーズは5月末時点で5053機もの受注を獲得している。対する737MAXシリーズは約3700機。大きく水をあけられており、737MAX10で巻き返しを狙う。
航空機版IoT
主力小型機の競争で一歩先を行くエアバスは新たな動きを見せる。パリ航空ショー会場で打ち出した新サービス「スカイワイズ」。エアバス機の運航実績データを収集・分析。燃費を改善する操縦方法を提案したり、故障時期を予見したりできるようになる。
そのサービスの第1号顧客として参加する4航空会社の中には、マレーシアのエアアジアや日本のピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)などLCC3社が名を連ねる。ピーチ・アビエーションは保有する18機全てがA320で、2016年にはA320neoなど13機を発注したエアバスの得意先。今回、航空機版IoTとも言える次世代サービスを先行提供するあたりにもLCCを重要視する姿勢がうかがえる。
ボーイングはパリ航空ショーで発表した36年までの20年間の民間航空機の新型機需要4万1030機のうち、実に7割が単通路機、つまり小型機が占めると予想する。LCCをめぐる2大メーカーの競争は、さらに熱を帯びそうだ。
日刊工業新聞2017年6月22日