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QS世界大学ランキング、米MITが6年連続首位もアジア勢躍進

日本は5校がトップ100入り。
QS世界大学ランキング、米MITが6年連続首位もアジア勢躍進

MITの卒業式でスピーチするアップルのティム・クックCEO(6月9日、MIT公式ページより)

 高等教育評価機関である英クアクアレリ・シモンズ(QS)による「2018年世界大学ランキング」が8日発表され、トップには米マサチューセッツ工科大学(MIT)が6年連続で選ばれた。2位以下もスタンフォード大学、ハーバード大学、カリフォルニア工科大学(カルテック)と4位までを米国の大学が独占。日本の大学では東京大学の28位が最高で、17年の34位から順位を上げた。

 日本の大学は100位以内に5校が入り、京都大学36位(37位)、東京工業大学56位(56位)、大阪大学63位(63位)、東北大学76位(75位)の順位だった(カッコ内は前回の順位)。

 そのほかは、名古屋大学116位(115位)、北海道大学122位(130位)、九州大学128位(135位)、慶応大学192位(216位)、早稲田大学203位(201位)、筑波大学250位(225位)、広島大学322位(297位)、神戸大学351位(369位)、東京医科歯科大学367位(329位)など。

 QSの世界大学ランキングでは今回、世界の980大学を対象に、研究面での評判(40%)、企業など雇用市場での評判(10%)、教員と学生の人数の比率(20%)、教員あたりの論文被引用率(20%)、外国人教員の比率(5%)、留学生比率(5%)を基準に評価している。

 アジアではシンガポールの南洋工科大学と国立シンガポール大学がそれぞれ11位、15位と躍進し、トップ10入り目前。続いて、中国の清華大学が25位、香港大学26位、香港科学技術大学30位、ソウル大学36位(京大と同順位)、北京大学38位、復旦大学40位、KAIST(韓国科学技術院)41位などとなっている。

 中国の大学は100位以内にこれまでで最多となる6校が入ったほか、政府による予算増などでロシアの大学のランキングも上昇した。

 一方、5位から8位まではケンブリッジ大学はじめ英国の大学が入ってはいるが、76校中51校で順位を下げた。今後についても、英国のEU離脱が大学の国際化にマイナスに働くのではと見られている。

 その半面、英国の大学出身者に対する企業の評価は高いという。今回も同43校で企業の評価が上昇し、ケンブリッジ大も企業の評判のスコアは同率トップだった。

【世界大学ランキングのトップ20[カッコ内は前回の順位]】

1位 MIT(米)[1位]

2位 スタンフォード大(米)[2位]

3位 ハーバード大(米)[3位]

4位 カルテック(米)[5位]

5位 ケンブリッジ大(英)[4位]

6位 オックスフォード大(英)[6位]

7位 ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)(英)[7位]

8位 インペリアル・カレッジ・ロンドン(英)[9位]

9位 シカゴ大(米)[10位]

10位 スイス連邦工科大チューリヒ校(スイス)[8位]

11位 南洋工科大学(シンガポール)[13位]

12位 スイス連邦工科大学ローザンヌ校(スイス)[15位]

13位 プリンストン大(米)[11位]

14位 コーネル大(米)[16位]

15位 シンガポール国立大(シンガポール)[12位]

16位 エール大(米)[15位]

17位 ジョンズ・ホプキンス大(米)[17位]

18位 コロンビア大(米)[20位]

19位 ペンシルベニア大(米)[18位]

20位 オーストラリア国立大(豪)[22位]


日刊工業新聞2017年6月10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
 6月9日にアップルのティム・クックがMITの卒業式でスピーチをしました。クックは自らの経験談などを披露。自身は大学(オーバーン大学で生産工学などを学ぶ)卒業後、「いったい、(自分は)どこへ向かっているのか?」、「自分にとっての目的は何か」という疑問を抱きつづけ、答えを見つけるのに15年近くかかったという。さかのぼって、高校生の時には、「大きくなったら、何になりたい?」という質問に答えられるようになれば、人生の目的を見つけることができると思っていた。しかし、そうはいかなかった。大学生の時は、「何を専攻するか?」という問いに答えられた時点で見つかるかもしれないと思ったが、それでもダメだった。  そして「いい仕事を見つければ」、「何度か昇進を果たせば見つかるのではないか」。それでも、答えは出なかったという。曲折を経て20年前ようやくアップルとジョブズに出会った。ジョブズはクレイジーな人たちが力を発揮できるようにしたいと考えていたと。そして「人のために尽くす」という強力で明確な目的を持つこれまで会社を見たことがなかった。ようやく、クックの中はすべての方向性が一致した気がしたという。  一方で昨年、ローマ法王との会談した内容について披露。「人類は、かつてないほど自分たちに対して影響力を及ぼしているものの、それが賢明な形で利用されると保証するものは何もない」と法王は話し、クックもとても共感したという。クックは自身の言葉にも置き換え、テクノロジーだけでは世の中は良くならないとし、倫理性の重要さを説いた。  先日のトランプ氏のパリ協定離脱での各企業のリアクションもそうだったし、MITの卒業式でテクノロジーへの懐疑を堂々とアップルのCEOがスピーチするところに、まだまだ米国の奥深さ(成長と成熟)を感じる。

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