景気拡大は本物か。株価2万3000円視野も米中経済に不安

「2万円台回復は日系企業の実力ベースの水準」

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 各種の経済指標が日本経済が好調なことを示している。先週末には伸び悩んでいた株価が約1年半ぶりに2万円の大台を突破。設備投資、企業業績、有効求人倍率など主要な指標は過去最高水準にあり、実感がないとされながら確実に“好景気”だ。一方、世界経済には依然として不確定な要素も少なくない。今後の日本経済に不安はないのか探った。

 民間調査会社はおおむね日本経済の先行きを楽観視している。世界経済の回復に伴って輸出の増加傾向が続くことに加え、企業業績の拡大を背景に設備投資も回復が見込まれる。

 第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「経済対策の効果の顕在化により公共投資も大幅に増加する公算が大きい」と指摘。国内総生産(GDP)成長率を2017年度は実質で1・5%、18年度は1・2%と見ている。

 大和総研の小林俊介エコノミストのGDP予想も、17年度は1・5%、18年度は1・1%とほぼ同じ見立て。堅調な外需と在庫投資に支えられる形で17年度にかけて成長が加速するとみている。

 日本経済を支える輸出の好調さの背景には、中国経済の持ち直しと米国経済の底堅さがある。ただ中国経済について、小林氏は「資本移動規制の強化に伴う資金流出抑制により、国内に滞留した資金が再度、不動産開発などに充てられていることに依存している。将来的な反動・調整のリスクにつながる」として慎重にみている。

18年以降にテコ入れ効果が剥落


 秋の中国共産党大会を控えて公共投資などによる景気テコ入れが行われている模様で、党大会が終わった18年以降に、こうしたテコ入れの効果が剥落する公算が大きいとも見る。

 足元の米国経済は在庫積み増し局面に入っており短期的な景気加速要因となるが、18年以降の持続可能性は決して高くないとして、「中国と米国の双方が好調という現状が長期にわたって継続することを前提とするのは難しい」(小林氏)としている。

 約1年半ぶりの2万円台突破―。2日の日経平均株価は317円25銭高い2万177円28銭で取引を終えた。好調な米経済指標を背景に、米ダウ平均株価が史上最高値を更新したことや、円安が進んだことを追い風に、2万円を一気に抜く形となった。

 日本企業は好業績が続いており、18年3月期も引き続き増益基調の見通し。一方で予想PER(株価収益率)は約14倍で割安の水準。

 野村証券の小高貴久エクイティ・マーケット・ストラテジストは「経済のファンダメンタル(基礎的条件)はしっかりしている。今回の2万円台回復は日系企業の実力ベースの水準」と話す。

 米トランプ大統領の政権運営、英総選挙を筆頭に欧州で相次ぐ政治イベントなど、株価変動の懸念材料は残るものの、大手証券トップからは「世界的な景気拡大局面が続くことを前提にすれば、年末には日経平均株価は2万1000円に達すると予想する」(野村証券の森田敏夫社長)、「日経平均は年末2万3000円も視野に入っている」(SMBC日興証券の清水喜彦社長)といった声があがる。

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日刊工業新聞2017年6月5日「深層断面」から抜粋

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

 主力業界の動向はどうか。まず自動車。日系自動車メーカーの主戦場でもある米自動車市場の潮目が変わりつつある。民間調査会社によると5月の米新車販売台数は5カ月連続前年割れ。原油安を背景に車の売れ筋が日系メーカーが得意な乗用車から小型トラックにシフト。各社は需要喚起のため車の値引きの原資になるインセンティブ(販売奨励金)を積み増し、値引き合戦になっている。また中国の4月の新車販売台数は、前年同月比2.2%減の208万4000台と1年2カ月ぶりにマイナスに転じた。小型車の減税幅縮小の一時的影響と見られるが、中国ローカルメーカーとの競争も激しく不透明感も漂う。  電機は半導体製造装置や電子部品の受注が引き続き堅調。工作機械の市況回復も鮮明だ。1―4月の受注額は前年同期比2割増、日本工作機械工業会(日工会)の年間見通しを1割上回る進捗。けん引役は全需要のほぼ3分の1を占める中国だ。しかし、日工会の飯村幸生会長は足元の環境のよさを指摘する一方、先行きは「そう簡単にはいかない」と警戒する。保護主義へ流れる世界政治、欧州の爆発事件などのリスクが横たわる。また、業界関係者からは中国について「10月以降がまったく読めない」との意見が相次でいる。

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