野村と大和のCEOが見据える今年の株価と若者たち

「年末2万1000円程度を見込んでいる」、「最低投資額や手数料を抑える」

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日比野氏(左)と永井氏
**野村ホールディングスグループCEO・永井浩二氏
 ―2017年の市場見通しは。
 「米国は完全雇用状態で、経済は強い。トランプ米次期大統領の政策は不透明な点も多いが、減税やインフラ投資が行われれば株式市場にはプラスだ。保護主義的な政策への懸念もあるが、日経平均株価は年末2万1000円程度を見込んでいる」

 ―欧米市場で事業再構築に取り組んでいます。進展状況は。
 「欧米のホールセール(企業向け)事業で選択と集中を進めており、顧客に求められない事業、競争力のない事業の縮小・撤退を行っている。19年3月期をめどに15年3月期比でコストを20%削減する計画で、現在は16%程度。残る4%も着実に実行していく」

 ―国内営業の事業展望は。
 「個人型確定拠出年金の対象拡大も始まり、今年は長期累積型投資の元年になると考えている。当社が強みとする富裕層向けのコンサルティングだけでなく、改めて若年層、投資未経験者層へのアピールも強化する」

 ―企業の“働き方改革”が叫ばれ、長時間労働の見直し機運が高まっています。野村HDの考えは。
 「支店は、特別な要件がない限り皆が早く退社している。ただ、本社の一部は遅くまで働くこともある。季節的な決算時期に、繁忙になるリサーチ関連部署や、クロスボーダー案件を抱えている投資銀行部門だ。人手を増やし、可能な仕事は外部や海外にアウトソースすることで、労働環境の改善に努めている」

大和証券グループ本社社長CEO・日比野隆司氏


 ―「年末に日経平均株価2万3000円」と予想されています。
 「日米いずれもマクロ経済や企業業績が良い。日銀のETF(上場投資信託)買いや企業の自社株買いも増え、需給がタイトになっていることも上昇を予測する根拠だ」

 「米国では20日にトランプ新大統領が誕生する。就任演説や予算教書が出ればマーケットは好感する可能性が高い。リスクは欧州。英国の欧州連合(EU)離脱が実行段階に入る。オランダやフランスの選挙結果によっては投資家のリスクオフムードが強まることも予想される」

 ―株価上昇で個人投資家のマインドも前向きになっています。
 「昨秋に投入したラップ(投資一任運用)サービス『ファンドラッププレミアム』が好調だ。最低投資額は3000万円だが、財産を事実上生前贈与できるサービスなのが特徴。既存のラップからの乗り換えも多い」

 「若者など資産形成層向けサービスとしてインターネットに特化したファンドラップを近く投入する。ロボアドバイザー(コンピューターによる投資分析・自動運用)を採用することで、最低投資額や手数料を抑える」

 ―ホールセール事業の再強化も進めています。
 「昨年に部門を補強した。PO(公募・売り出し)のリーグテーブルは、16年度上期は7位だったが、足元は2位に浮上。IPO(新規株式公開)も良い案件が集まっており、心配はしていない」
(聞き手=鳥羽田継之)

日刊工業新聞2017年1月13日

COMMENT

両社のトップは、いずれも若年層向けサービスを強化する方針を示した。個人型確定拠出年金の対象拡大や、積み立て型NISA(少額投資非課税制度)など制度面での追い風も吹く。ただ、若年層は手数料の安いネット証券に流れているのが現状だ。手数料の見直しを含め、ネット取引の改革が急務となっている。 (日刊工業新聞経済部・鳥羽田継之)

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