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低トルクと長寿命を両立!シール付玉軸受は日系自動車に受け入れられるか

NTNがトランスミッション用、2020年に量産へ
低トルクと長寿命を両立!シール付玉軸受は日系自動車に受け入れられるか

超低フリクションシール付玉軸受

 NTNは低トルクで長寿命な自動車トランスミッション用軸受「超低フリクションシール付玉軸受」を開発した。シール材の形状工夫でギア摩耗粉といった寿命を低下させる異物の軸受内部侵入を防ぎつつ、低トルク性能はシール無しタイプ軸受と同等にした。価格は従来の接触タイプシール付き軸受と同水準の見込み。24日から提案活動を始めた。2020年に量産し、25年に年25億円の販売を狙う。

 開発品は外資系自動車のトランスミッションで採用が多い、軸受内輪への接触タイプシール付き軸受比で回転トルクを80%低減した。

 日系自動車に多い高価な特殊熱処理を施したシール無しタイプ軸受との比較では、回転トルクは同等で、軸受寿命を5倍以上延ばした。

 シール周速性能は毎秒50メートル以上と、接触タイプシール比で2倍以上にし、電気自動車などで必要とされる高速回転にも対応する。

 新開発の超低フリクションシールは、シール内側円周に円弧状の微小突起を等間隔に設けた。同シールは、停止時は軸受内輪と接触している。

 だが、回転時は微小突起のくさび膜効果で、シールと内輪の間で潤滑油の油膜を形成して非接触状態となり、シールの引き摺りトルクを大幅低減する。

 回転時に生じるシールと内輪の間の微小な隙間は、微小突起の形状や間隔の最適化で、軸受寿命に影響を及ぼす数十マイクロメートルの異物も通さないサイズだ。
日刊工業新聞2017年5月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
車の省燃費化でトランスミッション用軸受は長寿命化と低トルク化の双方が求められる。NTNは外資系自動車には接触シール付きからの、日系にはシール無しから開発品への置き換えを提案するという。

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