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毎分2万回転のプーリー用軸受、自動車エンジンの小型化に朗報

NTNに開発、2020年に量産化へ
毎分2万回転のプーリー用軸受、自動車エンジンの小型化に朗報

高速回転対応プーリー用軸受

 NTNは自動車メーカーが求める高速回転性能を満たし、業界最高の毎分2万回転まで対応可能なプーリー用軸受を開発した。エンジン補機ベルトの位置調整用アイドラプーリーや、張り調整用オートテンショナーに内蔵する軸受。エンジン小型化に活用できるとして5月下旬にも提案活動をはじめ、2020年にも量産化を狙う。価格は従来品と同等程度に抑える。販売目標は20年度に年14億円。

 エンジンの小型化でエンジン補機類のレイアウトが複雑化している。これに対応するため補機ベルトの屈曲性を向上するのに伴い、ベルトを這(は)わせるプーリーの外径を小径化する傾向にある。プーリーの小径化は回転性能を高める必要があるが、従来の軸受は毎分1万5000回転が限界で、毎分1万7000回転以上を満たす軸受が求められていた。

 設計見直しにより軸受内輪とシール材が接するシールリップ部の発熱を抑えた。軸受内部の保持器の形状と材料を工夫し、グリースが効果的に潤滑するよう通路を設け、高速回転時でも軸受内部に留まるようにすることで、保持器変形も抑えて高速回転を可能にした。

 プーリー用軸受は乗車時の快適性を高めるため、異音対策や低トルク化も求められる。開発品はグリースを低温特性に優れた仕様にして、低温時のグリース硬化を防ぎ、マイナス40度Cの環境下でも軸受外輪とプーリーが振動する冷時異音の発生を抑制する。

 シール形状やグリース基油、軸受内部の最適化でシールにかかるトルクとグリースの撹拌抵抗を抑え、回転トルクも同社従来品比10%低減した。
日刊工業新聞2017年5月18日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
 軸受大手3社の2018年3月期は市況が堅調に推移するとの見方で一致するものの、業績は各社の製品構成の違いや、収益改善活動の進捗(しんちょく)の差が出て、三者三様の見通しだ。  日本精工は増収で、すべての利益項目も増益予想。自動車事業は車用軸受や電動パワーステアリング(EPS)は北米が頭打ちも高止まりで、中国や日本も堅調に推移する。産業機械向け軸受は工作機械などで回復予想だ。主力の車事業は次世代EPS開発などで投資を増やし、前期比若干の営業減益を予想。野上宰門取締役代表執行役専務は「研究開発投資をやる期だと思っている」とし、将来の成長投資を継続する。  NTNは増収で、前期に計上した工場の減損損失がなくなり、当期利益が大幅増益となる。ただ独占禁止法関連の特別損失は今期も前期実績に近い100億円を見込んだ。営業利益は材料費高騰など織り込み微増予想。売上高は建設機械や風力発電向け軸受などが伸びる。車向けも堅調予想で大久保博司社長は「アジア地域が特に期待できそう」とした。  ジェイテクトはEPSの販売量は伸びるも、日米が製品の切り替え時期にあたり、利益面で落ち込む。軸受は海外では構造改革の成果が出ているが、国内は生産改善の遅れが足を引っ張る。安形哲夫社長は「国内も手を打っているが、効果は早くて19年3月期」と説明する。  18年3月期連結業績(全社)は売上高1兆3000億円(前期比1・4%減)、営業利益680億円(同12・2%減)で減収減益を見込む。

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