プライベート・ジェット機の歴史を変える「セスナ・デナリ」の全貌
先進ターボプロップエンジンで価格は約5億円
日本ではなじみの薄いプライベート・ジェット、その歴史が大きく塗り替えられようとしている。最先端のテクノロジーを活用し、快適な居住空間を確保しながら、プライベート・ジェットを初めて導入する層のための価格帯を実現したプロペラエンジン搭載のビジネス機が登場した。
「セスナ・デナリ」と呼ばれるこのビジネス機は定員8名、キャビンの広さはクラス最大級。ロサンゼルス~シカゴ間、あるいはニューヨーク~マイアミ間を航行するのに十分なエンジンパワーと効率を備えている。
この新型機を手掛けたのがテキストロン・アビエーション社。GEアビエーションはエンジン開発を担当した。
「セスナ・デナリ」の設計は、機体、エンジンとも一から行われた。例えばエンジンには、従来のように数百個におよぶ部品を組み立てるのでなく、3Dプリンターを使って、チタン製やスチール製の複雑なパーツを「印刷」しする。
また、ターボプロップ式のエンジンでありながらも、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が持つジェットエンジンのテクノロジーを活用して、コンプレッサーやタービン内の圧力と温度を上昇させ、より性能を高めている。
さらに、パイロットはジェット機を操縦するように、1つのレバーでエンジンとプロペラをコントロールすることが可能だ。
この新型エンジンの開発がスタートしたのは2008年、チェコの小さなターボプロップ・エンジンメーカー、ウォルター・エアクラフト・エンジンズをGE傘下に収めた時にさかのぼる。
その当時までの数十年、米国では新たなプロペラエンジンの開発は行われていなかった。GEもビジネスジェットや民間ジェット、軍用機、ヘリコプターなどのエンジンをメインに製造しており、プロペラエンジンの市場はプラット・アンド・ホイットニー・カナダがリードしていた。
そこから7年間にわたり、プラハと米国のエンジニアたちは新型エンジンの設計に取り組み、ついには出力数が1,650軸馬力に達するエンジンを開発。2015年の秋には世界最大のビジネスプロペラ機メーカーであるテキストロン・アビエーションが、この先進ターボプロップエンジン(ATP)を開発中の最新機「セスナ・デナリ」に採用すると発表した。
新型エンジンの開発にあたっては、ウォルター・エアクラフト・エンジンズとGEはターボプロップエンジンを共同開発し、30種の異なる機体で2,000万時間近くの飛行時間を費やしてきた。
その課程で、GEは10億時間以上の飛行実績があり、ターボプロップエンジンではこれまで利用されていなかったジェットエンジンのテクノロジーを組み合わせた。
例えば、今回採用された可変静翼の技術はもともと、GEの伝説的な航空エンジニア、ゲルハルト・ニューマンが超音速ジェットエンジン向けに開発したもので、現在ではガスタービンの効率向上にも活用されている。
このほかにも、新型エンジンには3Dプリンター製部品(ジェットエンジン「LEAP」で初採用)に加え、空冷タービンブレード、推進統合制御といったテクノロジーが採用される予定。推進統合制御はエンジンとプロペラをひとつのシステムで管理するので、パイロットの作業負荷を軽減できる。
ウォルター・エアクラフト・エンジンズの買収を指揮し、新型ターボプロップエンジンの開発を主導してきたGEアビエーションのブラッド・モティアー氏は、こうした最新テクノロジーが最大20%の燃料消費削減と、同クラスのエンジンに比べて10%の出力アップのほか、オーバーホールまでの期間を30%以上も延ばせる可能性があるという。
「セスナ・デナリ」の初飛行は2018年の予定。通常、新型機のテストにはそれから1年程度かかるが、すでに予約注文は開始しているという。ちなみに価格は480万ドル(約5億円)。近い将来、新たなテクノロジーによってまたひとつ、空の旅の選択肢が広がりそうだ。
「セスナ・デナリ」と呼ばれるこのビジネス機は定員8名、キャビンの広さはクラス最大級。ロサンゼルス~シカゴ間、あるいはニューヨーク~マイアミ間を航行するのに十分なエンジンパワーと効率を備えている。
この新型機を手掛けたのがテキストロン・アビエーション社。GEアビエーションはエンジン開発を担当した。
「セスナ・デナリ」の設計は、機体、エンジンとも一から行われた。例えばエンジンには、従来のように数百個におよぶ部品を組み立てるのでなく、3Dプリンターを使って、チタン製やスチール製の複雑なパーツを「印刷」しする。
また、ターボプロップ式のエンジンでありながらも、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が持つジェットエンジンのテクノロジーを活用して、コンプレッサーやタービン内の圧力と温度を上昇させ、より性能を高めている。
さらに、パイロットはジェット機を操縦するように、1つのレバーでエンジンとプロペラをコントロールすることが可能だ。
この新型エンジンの開発がスタートしたのは2008年、チェコの小さなターボプロップ・エンジンメーカー、ウォルター・エアクラフト・エンジンズをGE傘下に収めた時にさかのぼる。
その当時までの数十年、米国では新たなプロペラエンジンの開発は行われていなかった。GEもビジネスジェットや民間ジェット、軍用機、ヘリコプターなどのエンジンをメインに製造しており、プロペラエンジンの市場はプラット・アンド・ホイットニー・カナダがリードしていた。
そこから7年間にわたり、プラハと米国のエンジニアたちは新型エンジンの設計に取り組み、ついには出力数が1,650軸馬力に達するエンジンを開発。2015年の秋には世界最大のビジネスプロペラ機メーカーであるテキストロン・アビエーションが、この先進ターボプロップエンジン(ATP)を開発中の最新機「セスナ・デナリ」に採用すると発表した。
最大20%の燃料消費削減に
新型エンジンの開発にあたっては、ウォルター・エアクラフト・エンジンズとGEはターボプロップエンジンを共同開発し、30種の異なる機体で2,000万時間近くの飛行時間を費やしてきた。
その課程で、GEは10億時間以上の飛行実績があり、ターボプロップエンジンではこれまで利用されていなかったジェットエンジンのテクノロジーを組み合わせた。
例えば、今回採用された可変静翼の技術はもともと、GEの伝説的な航空エンジニア、ゲルハルト・ニューマンが超音速ジェットエンジン向けに開発したもので、現在ではガスタービンの効率向上にも活用されている。
このほかにも、新型エンジンには3Dプリンター製部品(ジェットエンジン「LEAP」で初採用)に加え、空冷タービンブレード、推進統合制御といったテクノロジーが採用される予定。推進統合制御はエンジンとプロペラをひとつのシステムで管理するので、パイロットの作業負荷を軽減できる。
ウォルター・エアクラフト・エンジンズの買収を指揮し、新型ターボプロップエンジンの開発を主導してきたGEアビエーションのブラッド・モティアー氏は、こうした最新テクノロジーが最大20%の燃料消費削減と、同クラスのエンジンに比べて10%の出力アップのほか、オーバーホールまでの期間を30%以上も延ばせる可能性があるという。
「セスナ・デナリ」の初飛行は2018年の予定。通常、新型機のテストにはそれから1年程度かかるが、すでに予約注文は開始しているという。ちなみに価格は480万ドル(約5億円)。近い将来、新たなテクノロジーによってまたひとつ、空の旅の選択肢が広がりそうだ。