後発薬の再編が動き出す!「じり貧の日本でやっても仕方ない」

沢井製薬の米社大型買収が起爆剤に。優勝劣敗が加速

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 沢井製薬が米後発薬企業アップシャー・スミス・ラボラトリーズ(USL、ミネソタ州)を10億5000万ドル(約1155億円)で買収する。国内は薬価引き下げなどで長期的な伸びが見込みにくい点を踏まえ、収益源の多様化を図る。日系後発薬大手では日医工に次ぐ米国への本格進出となる。日本の後発薬業界は再編が必要と指摘され続けており、大手の事業規模拡大で優勝劣敗が加速しそうだ。

 「立派な決断だ」。厚生労働省幹部はUSL買収を決めた沢井製薬をこうたたえる。その上で「じり貧の日本だけでやってもらっても仕方がない。成長する米国へ行ったらどうか、とずっと言ってきた」と明かす。

政策に不透明感


 日本ジェネリック製薬協会によると、後発薬の数量シェアは2016年10―12月に66・4%(速報値)だったが、政府は18―20年度の早い時期に80%とする目標を掲げる。

 一方で16年4月、新規に薬価収載される後発薬の薬価を先発品の5割へ引き下げた(従来は先発品の6割)。沢井製薬には「シェア80%到達後の政策がどうなるか分からない。厚労省が助けてくれるわけではない」(澤井健造取締役常務執行役員)との危機感があった。

 翻って米国はどうか。米医薬コンサルティング会社クインタイルズIMSの統計を基に厚労省がまとめた資料では、米国における後発薬の数量シェアは14年10月―15年9月の平均値が91・9%。伸びしろは少ないとの解釈もできるが、沢井製薬は米後発薬市場が20年に16年比33・3%増の12兆円(1ドル=100円で計算)になると見込む。

 仮にそこまで成長しなくとも、従来の規模が巨大なだけに商機はありそうだ。

 米国進出で先行する日医工との対比も興味深い。同社は約750億円を投じ、後発注射剤を手がけるセージェント・ファーマシューティカルズ(イリノイ州)を16年8月に買収した。日医工は開発してきたバイオ後続品などを拡販する狙いだ。「米国ではバイオ後続品の認知度が高まっており、かなりの速さで先発品から切り替わっていく」(田村友一社長)とみている。
米後発薬企業アップシャー(ミネソタ州の同社本社)

「バイオ後続品は全世界で売って初めてペイする」


 一方、沢井製薬が17年6月末までに買収するUSLの品ぞろえは経口低分子薬が中心。沢井製薬は「バイオ後続品は全世界で売って初めてペイする」(澤井光郎社長)と判断し、徐放性製剤など付加価値の高い低分子薬に力を注ぐ考えだ。

 今後は他社がどう動くか注目される。東和薬品の吉田逸郎社長は「シェア80%到達後は日本の人口が減りだし、大型の新製品も出ないため市場自体は小さくなる。

 スケールが大きいところが勝つ」とし、業界再編が起こると指摘する。同社は日本の後発薬メーカーとしては日医工と沢井製薬に次ぐ事業規模があり、さまざまな打ち手を探っていそうだ。
(文=斎藤弘和、大阪・香西貴之)

日刊工業新聞2017年4月27日

COMMENT

政府は従来2年に1回だった薬価改定を18年度からは毎年行う方針。対象範囲の詳細は今後決まるが、大部分が後発品になるとの見方もある。後発薬各社はどのように事業構造を見直すのか。残り時間はさほど多くない。 (日刊工業新聞第ニ産業部・斎藤弘和)

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