イチゴの輸出拡大に船便を!香港へ4日輸送を可能にした工夫とは
九州農産物通商、仕入れの約7割を産地との直接取引に
日本産の農産物輸出が、安全性に対する評価から増加傾向にある折り、安定した供給体制の構築が課題となっている。九州農産物通商(福岡市中央区、波多江淳治社長)は、生産地と連携した調達と物流体制の改善により、輸出拡大の一翼を担う。
同社の輸出先は現在、香港が約6割を占める。現地で人気の高い福岡県産イチゴ「あまおう」など九州産の農産物をはじめ、日本各地のブランド農産物を扱う。
「香港において、消費者の判断基準は日本産というブランドか否か」(波多江社長)という状況にあり、産地間の価格競争も激しさを増している。ブランド価値を維持しつつ価格を抑えるには「価格へのウエートが高い」(同)とされる輸送コストへのテコ入れが必要となる。
日持ちしない産品は航空便を使う。一方、博多港を拠点とする船便では混載輸送の比率を高めている。香港まで4―5日で輸送できる地理的な近さと混載による輸送効率化で、小ロット取引で割高になりがちな価格転嫁を抑えている。
船便輸送を可能にするため、農産物の調達にも工夫がある。同社は、出資者であるJAグループなどとの関係を生かし、仕入れの約7割が産地との直接取引。卸売市場に出回る農産物よりも割安に買い付けられ、鮮度が落ちる前に調達できるメリットを生かす。
輸出の約3割は台湾向け。香港と比べ検疫体制が厳しく、農産物輸出のハードルは高い。そこで産地との連携を生かし、現地の検疫基準や残留農薬基準に対応した農産物を生産し、取引拡大につなげている。
台湾への輸出拡大に向けては、2016年に現地輸入業者からの出資を受け入れるなどして、現地のマーケティング情報も重視する。ニーズに合わせた輸出展開によって、さらなる物流改善を目指す。
(文=西部・高田圭介)
同社の輸出先は現在、香港が約6割を占める。現地で人気の高い福岡県産イチゴ「あまおう」など九州産の農産物をはじめ、日本各地のブランド農産物を扱う。
「香港において、消費者の判断基準は日本産というブランドか否か」(波多江社長)という状況にあり、産地間の価格競争も激しさを増している。ブランド価値を維持しつつ価格を抑えるには「価格へのウエートが高い」(同)とされる輸送コストへのテコ入れが必要となる。
日持ちしない産品は航空便を使う。一方、博多港を拠点とする船便では混載輸送の比率を高めている。香港まで4―5日で輸送できる地理的な近さと混載による輸送効率化で、小ロット取引で割高になりがちな価格転嫁を抑えている。
船便輸送を可能にするため、農産物の調達にも工夫がある。同社は、出資者であるJAグループなどとの関係を生かし、仕入れの約7割が産地との直接取引。卸売市場に出回る農産物よりも割安に買い付けられ、鮮度が落ちる前に調達できるメリットを生かす。
輸出の約3割は台湾向け。香港と比べ検疫体制が厳しく、農産物輸出のハードルは高い。そこで産地との連携を生かし、現地の検疫基準や残留農薬基準に対応した農産物を生産し、取引拡大につなげている。
台湾への輸出拡大に向けては、2016年に現地輸入業者からの出資を受け入れるなどして、現地のマーケティング情報も重視する。ニーズに合わせた輸出展開によって、さらなる物流改善を目指す。
(文=西部・高田圭介)
日刊工業新聞2017年4月19日