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便利ストアからエッセンシャルな存在に。コンビニ「日用品大改革」

シニアや女性呼び込め!セブン値下げ、ファミマは男性化粧品で資生堂とコラボ
便利ストアからエッセンシャルな存在に。コンビニ「日用品大改革」

コンビニはナショナルブランドの日用品や化粧品を強化(ローソン)

 若い男性が主要顧客であるコンビニエンスストアが、シニアや女性といった新しい顧客の獲得に向け、メーカーが持つナショナルブランド(NB)の日用品や化粧品の商品戦略を見直している。ファミリーマートは資生堂の男性用化粧品「アウスレーゼ」で、同社限定の商品を発売した。セブン―イレブン・ジャパンは19日に、洗剤など61品目を値下げする。メーカーにとっても、新たな販路獲得につながる利点がある。

 ファミリーマートは資生堂と組み「アウスレーゼ」ブランドで、容量が通常の約半分のヘアトニックとヘアリキッドのほか、洗顔・ボディーシートなどの独自商品を発売した。

 アウスレーゼの主要顧客は50代以上。若い世代へのブランド浸透を図る資生堂と、シニアの顧客を獲得したいファミマの思惑が一致した。資生堂は「ファミマの持つ約1万8000の店舗網は魅力」と話す。

 独自商品であれば、ファミマのプライベートブランド(PB)で出す方法もある。だが、ファミマの吉野正洋商品本部日用品・ヘルスケア部長は「化粧品をPBで出しても、消費者には(品質が)分かりづらい。すでに根付いたブランドで販売したかった」と説明する。

 ファミマがシニアの男性向け化粧品を販売するのは、ほぼ初めてだ。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、2025年には65歳以上の人口が全体の3割を超える。シニア市場の取り込みは喫緊の課題だ。

 コンビニは「定価販売が原則」という常識も変化している。セブン―イレブンはメーカーとの協議を経て、日用品61品目の販売価格引き下げを決めた。ライオンの「システマハブラシ」の場合、消費税込みの価格は235円と現在より30円下げ、ドラッグストアなどの実勢価格に近づける。

 ローソンの竹増貞信社長は「消費者は価格に敏感になっており、ぱっと手に取った商品で『この店は(商品の価格が)高い』と判断する」と語る。ローソンは食品や洗剤の一部を「キーバリューアイテム」に定め、地域別に、ドラッグストアなどに対抗しうる価格に設定している。

 同社の玉塚元一会長は「コンビニエンス(便利)ストアから、エッセンシャル(不可欠)なストアになる」と説く。各社は困った時の“駆け込み寺”から、日常遣いの店舗へ変化を図っている。

 セブン―イレブンではここ10年で、台所・住居洗剤の売上高は1・7倍になったが、急に必要となることが多い乾電池や電気小物については、半分に落ち込んだ。

 同社は春以降、雑貨全体の品ぞろえは縮小するが、日用品は増やす方針だ。「12ロールのトイレットペーパーなどを買う人は牛乳や豆腐も買ってくれる」(セブン―イレブン・ジャパンの石橋誠一郎取締役執行役員商品本部長)という。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2017年4月7日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
意外とコンビニで日用品を買ってしまう。それほど高いとは感じなかったが、セブンが値下げ聞くとさらに個人的な購入頻度は増えそう。それにしても店員のサービス低下への対策を打たないとエッセンシャルな存在にはないれない。

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