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日産新社長・西川広人の決意と好機

「構造変化の激しい今こそ、日産の新たな“顔”を作るチャンスだ」
日産新社長・西川広人の決意と好機

西川社長

 《類い稀(まれ)なリーダーシップによって日産自動車の再生・成長を先導したカルロス・ゴーン会長から、経営のバトンを託された。日産にとって17年ぶりの日本人社長の誕生だ》

 「15年以上にわたりゴーン会長の近くで一緒に仕事をしたことは大きな財産だ。彼のスタイルと強みはわかっているし、私が何をすべきかも見えている」

 《電気自動車(EV)や自動運転など産業構造の変化が激しさを増す中、トップとして、自社の継続的成長と新たな企業イメージの創出に挑む》

 「最大のミッションは日産を着実に進化させて、成長させること。また構造変化の激しい今こそ、日産の新たな“顔”を作るチャンスだ。“技術の日産”の上に(同社のコンセプトである)『インテリジェント・モビリティ』に合う新技術・商品を乗せて提供していく」

 《仏ルノーとのアライアンス(連合体)に、三菱自動車が新たに加わったことで、アライアンス内での役割もより重要性を帯びる》

 「今後5―10年で業界が大きく変化することで、アライアンスは当然大きくなる。その進化を中核として引っ張る存在になる」

 《17年3月期に終了した6カ年中期経営計画では、成果とともにやり残した課題も》

 「6年間での投資や施策を通じ、生産台数などを4割増やせた。大きな変化の前に実現できたことは、次のステップに踏み出すに当たり大きな財産だ」

 「しかし、ロシアやブラジルなど新興国への先行投資の刈り取りが十分できなかった。この宿題に対してスピード感を持って取り組む。小型車市場についても十分な収益を上げられる力を付ける」

(文=土井俊)
<経歴>
西川広人(さいかわ・ひろと)77年(昭52)東大経卒、同年日産自動車入社。03年常務執行役員、05年副社長、16年共同最高経営責任者(CEO)兼副会長。東京都出身、63歳。4月1日就任。
日刊工業新聞2017年4月6日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
新興国で車を初めて購入する客層をターゲットにした「ダットサン」ブランドを、パワー88の世界シェア拡大の柱としてを立ち上げたが、計画より伸びなかった。日産の世界販売は米中に偏っており、地域的にバランスよく成長に導くにはこの新ブランドを浸透させるための販売サービス体制の拡充が必要になる。

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