EV先行者のはずだった日産がいつの間にか追随者に!?

「リーフ」一本足から転換、専用車台で車種とユーザー層広げる

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CESで展示したスポーツEVの試作車
 「テスラみたいな市場があるとは思わなかった。教えられた」と話すのは日産自動車の開発担当副社長の坂本秀行。米EVベンチャー、テスラモーターズを率直に評価する。

 テスラ車は高い加速性能と高級感を売りに富裕層の心を捉えている。普及価格帯の「リーフ」の投入により販売量では先行した日産だが、テスラを追うように「造形や走りを追求した高性能EVを投入する」(坂本)という。

 高性能EVへの参入だけではない。量販EVの商品群の拡大にも乗り出す。EVならではの特性を引き出せる新たなEV専用のプラットフォーム(車台)も開発中で、さまざまなサイズの車格に採用する計画だ。

 日産は2010年末の発売以降6年間ほぼリーフ一本でEV市場を開拓してきた。「主要部品のコストを下げたり、耐久性を上げたりしてEVを勉強するためにリーフに集中した」(同)という。

 そのリーフも次期モデルで航続距離を伸ばし、自動運転技術「プロパイロット」を搭載してテコ入れする。

 リーフユーザーを対象にしたアンケートによれば、75%のユーザーがEVの再購入を希望している。残りの25%は短い航続距離と長い充電時間をネックに感じて、わからないと答えたユーザーだ。

 「このネガティブ要素の解消と商品群の拡充がEV戦略の2本柱」と坂本は話す。

 「リーフの発売前から開発を続けてきてついに発売できた」。16年11月の国内月間販売で日産車として30年ぶりに首位になった小型車「ノート」。その立役者となった新たな駆動技術「eパワー」を開発した仲田直樹は感慨深げに話す。

 エンジンで発電した電気でモーター駆動する仕組みで、ハイブリッド車(HV)に属するがEV独特の加速性や静粛性が売りだ。リーフのEV技術を活用した。リーフとeパワーは主要部品を共用している。「EVとeパワーが互いに客層を補完し、販売が伸ばせれば規模のメリットも得られる」と坂本は車種間のシナジーを描く。

 トヨタ自動車や独フォルクスワーゲンなど各社がEVに力を入れ始め、EV競争の激化が予想される。EV先行者としての真価が試されている。
(敬称略)

日刊工業新聞2017年1月27日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

日産は技術開発では先行していた面はあったかもしれないが、EV市場の「ブランディング」という面では先行者になれなかった。技術的にはEVではないが「eパーワー」と「プロパイロット」をテコにブランドを再構築し、EVにつなげていくのがよいかも。

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