高速道路が製造中止になっいたサイダーを復活させる理由

地域と連携、単なる交通手段から新たな価値を模索

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東名高速
 物流インフラとしての機能を重視されてきた高速道路に、地域の未来を開くパートナーという新たな役割を与えることができるかも知れない。

 中日本高速道路(NEXCO中日本)は、沿道のパートナーと協働したプロジェクトを立ち上げ、地域連携の新しい仕組みづくりに乗り出した。神奈川県茅ケ崎市、静岡県御殿場市、富山市、岐阜県養老町の4カ所で準備が進んでいる。

 このうち養老町では、製造中止になっていた地元の「養老サイダー」を復活する。すでにレシピも見つかった。

 奈良時代に元号が養老に改まってから1300年になることを記念して、養老町観光協会は「養老改元1300年祭」の目玉にと意気込んでいる。

 高速道路会社が単なる施設管理を越え、社会・経済の変化を見据えた地域活性化への貢献に目を向けたことを評価したい。

 NEXCO中日本は地域支援の方針を「オーダーメードのきめ細かな対応」と決め、社員が主体となって地域のパートナーを探し、事業のアイデアの具体化・開発で協働している。

 また、これらの事業を社員育成のための実体験型研修プログラムと位置付けている点も注目だ。

 社員はそれぞれの事業で、マーケティングなどビジネスの根幹に関わる分野に積極的に参画する。ソーシャルビジネスの知識や事業化ノウハウの習得、起業家精神の醸成につなげ、新たなビジネスモデルを創造できる社員の育成を目指す。

 こうした地域活性化事業では常に資金集めが課題となる。この点ではインターネットで不特定多数の人に資金を募るクラウドファンディングを活用し、4件のプロジェクトのうち3件で目標額を達成している。

 地域からみると、高速道路は経済効果の期待がある一方、大都市圏への人口流出を加速する“ストロー現象”を引き起こす要因としてやっかいな存在だ。

 NEXCO中日本の新たな取り組みからは、高速道路は単なる交通手段ではなく、もっと活用する方法があるという意識の変化を感じさせられる。

日刊工業新聞2017年3月30日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

高速道路は日本の誇るアセット。利権の温床にもならないためにも、アセットの価値を適正に競い合う形で上げ、評価する仕組みが必要だろう。

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