愛知8道路、あす国内初の民営化

「コンセッション」 地域活性化に期待高まる

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 愛知県内の有料道路8路線が10月1日、全国の有料道路として初めて民営化される。県は前田建設工業を中心とする企業グループに運営権を譲渡し、最長30年の運営権への対価として1377億円を受け取る。公共インフラの運営権を民間に売却する「コンセッション」は空港などで先行しており、有料道路に広がることで、地域活性化の有力な手段として期待が高まる。

国の特区を活用


 「わが国初の有料道路コンセッションの実現。感慨深い」。大村秀章愛知県知事は8月末の記者会見でこう述べた。県は2012年、道路整備特別措置法で認められていない有料道路運営への民間参入を進めるべく、国の構造改革特区制度による特例措置を提案。15年に国家戦略特区の区域計画が認定された。

 民営化するのは愛知県道路公社が管理する8路線(総延長73・5キロメートル)。前田建設工業や森トラスト、大和ハウス工業などでつくる企業グループが運営を受託。特別目的会社(SPC)「愛知道路コンセッション」を設立し、8月末に正式に契約した。

リゾート施設にホテル、バイオガス発電


 SPCの事業計画は道路運営に加え、観光施設新設などの沿線開発も盛り込み、地域活性化を強く意識したものになっている。パーキングエリア(PA)に観光客向けの季節マルシェ(市場)を設置したり、有名な料理人らを起用した「食とやすらぎのリゾート施設」を展開したりする。
 
 また中部国際空港島(愛知県常滑市)には客室数150―300室程度の外資系ホテルを誘致。さらには、酪農が盛んな愛知県の知多半島の特色を生かし、牛ふんを用いたバイオガス発電事業も予定する。愛知道路コンセッション会長の岐部一誠前田建設取締役は「単なるインフラの効率運営だけでなく、地域活性化が大きなポイント。今後のコンセッションの普及拡大にも大きく影響する」と話す。今後、4―8年程度の間にこれらの施設を順次開業する方針だ。

 SPCは最長30年間にわたる運営権対価として計1377億円を支払う。公社側が設定した最低提案価格を約160億円も上回り、受注の大きな決め手となった。コンセッション開始に併せ、中部国際空港連絡道路の通行料を従来の半額の180円にするなど、通行料を引き下げる。

期間の長さにリスク


 県、事業者、利用者の「三方よし」を掲げる有料道路コンセッションに課題はないのか。愛知県幹部は「運営期間の長さ」を挙げる。最長30年という運営期間の中で事業継続が困難になるリスクもある。公共交通政策に詳しい岡田孝日本総合研究所主席研究員は「リスクヘッジはしているが、期間が長いため想定していないことも起こりうる。県とSPCが対等のパートナーとして連携することが必要だ」と指摘する。

(文=名古屋・杉本要)

日刊工業新聞2016年9月30日付

COMMENT

空港などの単一施設の民営化とは異なり、道路の民営化では地域全体の活性化を考えることができます。今回は愛知県の知多地域という場所自体に観光資源としての魅力がありそうです。これが例えば、人口減少の激しい地域だとどうなるか。全国に道路の民営化が広がるかは未知数だと思います。

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