整備が進む首都圏の道路網!ヒト・モノ・カネの動きはどう変わる

物流、観光、税収・・経済効果への皮算用

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 首都圏で道路網の整備が進んでいる。都心を中心に弧を描くように位置する首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、東京外かく環状道路(外環道)、首都高速中央環状線(中央環状線)は、交通渋滞の緩和や経済活動の活性化といった効果が期待されている。道路がつながることで新たなヒト・モノの動きを誘発し、物流や観光などにプラスに働く。周辺の地方自治体にとっては、道路網のストック効果を地元の発展に取り込む工夫が重要だ。

2月に圏央道の一部開通


 「圏央道沿線に立地する約1600件の大型物流施設で、生産性向上の加速が期待できる」。石井啓一国土交通相は2016年12月20日、圏央道の境古河IC(インターチェンジ、茨城県境町)―つくば中央IC(同つくば市)間の28・5キロメートルについて、17年2月26日に開通すると発表した。
国内最大のシールドマシン(外環道、東名JCT、16年9月)


 同区間の開通により成田空港から日光・那須(栃木県)、富岡製糸場(群馬県)、川越(埼玉県)といった観光地へのアクセスが向上する。

 訪日外国人観光客(インバウンド)や茨城県、千葉県からの来訪者の増加を期待できる。さらに、圏央道沿いは多くの物流施設が立地するため、輸送時間の短縮などの効果を見込める。工場などの立地も進みそうだ。

 都心を中心にして、弧を描くように整備が進んでいる首都圏3環状道路。中央環状線は都心から約8キロメートル、延長約47キロメートルで15年3月に全線開通した。外環道は都心から約15キロメートル、延長約85キロメートルで現在約4割が開通。

 17年度中に三郷南IC(埼玉県三郷市)―高谷JCT(ジャンクション、仮称、千葉県市川市)が開通すると、全体の約6割開通となる。圏央道は17年2月に境古河IC―つくば中央ICが開通すると、全体の9割が開通する。

3環状道路で渋滞緩和を期待


 3環状道路の整備では、さまざまな効果が期待されている。一つが交通渋滞の緩和だ。都心からは、多くの幹線道路が放射線状に延びている。このため、都心部に流入する車が集中し、交通渋滞を生む原因になっている。
               

 環状道路が整備されれば道路が縦横につながり、都心を通過する車は減り渋滞を緩和できる。それに伴う輸送時間の短縮、定時制の確保など、企業の経済活動において生産性の向上につながる。

 工場や物流施設など、企業の立地効果も想定されている。特に都心から離れた郊外を通過する圏央道は、沿線市町村の工場立地面積が20年前に比べて約6倍に増加。07年に早期開通した中央自動車道(中央道)と関越自動車道(関越道)の区間では、製造品出荷額が約1・5倍に増えている。

 また、災害時において都心に向かう幹線道路が途絶した際に、環状線を使って都心への経路を確保する機能もある。観光面では、従来は難しかった日帰り旅行ができるようになったり、新たな観光需要を創出したりすることが可能だ。

 実際、開通した区間では、さまざまな経済効果が生まれている。例えば、15年10月に開通した圏央道の桶川北本IC(埼玉県桶川市)―白岡菖蒲IC(同久喜市)により、栃木方面などから神奈川・湘南地域への交通量が約4・6倍(14年比)に増加。

 神奈川県藤沢市を訪れた観光客は11、12月の平均値と比べ1・9倍の67万人が増えたと計算する。藤沢市は観光客を呼び込もうと、観光ガイドブックを作成。群馬県や茨城県、千葉県など広域に配布している。

 沿線の企業は、物流面で効果を享受している。焼き肉レストランの安楽亭グループの食品メーカーは、茨城県五霞町の物流拠点から静岡・神奈川地域への配送時間を、従来と比べて往復で約1時間短縮。配送コストも約1割削減した。

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2017年1月1日付日刊工業新聞

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