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病院の待ち時間は何とかならないか!医師からの答え

「クレームは宝」、予約制も根本的な解決は難しく
病院は、患者さんの命を預かるという大切な使命を持っています。最近では、医療をサービス業と捉え、患者さんの意向を取り入れ少しでも気持ちよく診療を受けてもらえるよう改善に努めています。

 病院内に「ご意見箱」を設置して、直接声に出して言いにくい意見をいただくとか、定期的に患者満足度調査を行い、問題点の抽出と改善結果を確かめるなどしています。

 ご意見の中には手厳しい指摘も多く、病院だけではなく職員個人に対するものもあり、それを当事者に伝える時は院長といえども緊張します。

 医療安全・質向上のための業務負担の増大や、マンパワー不足からくる余裕のない状況は、院長の責任でもあるからです。

 ご指摘の中で常に上位を占める不満は外来待ち時間の長さです。特に、予約制なのにその時間に診てもらえない不満は大きく、われわれも頭を痛めています。

 一般病院では、予約外の患者を予約患者の合間に診なければならないことがあり、状態の悪い急患は順番に関わらず早い診察を必要とします。このような予約外の患者のみを診察する医師を配置することが可能な病院は、実際にはそう多くはありません。

 逆に、予約優先を徹底すると、新患や急患の診察は予約患者の後となりますが、それはそれで問題が残ります。

 また、普段は3分とは言わないまでも、5分程度で診察が終了する患者さんも、状態の変化がある場合には、十分に話を聞いて診察し記録を取り、検査を入れるなどすると、あっと言う間に30分位は過ぎてしまいます。

 その検査と説明も患者さんの利便性を考え、当日に実施するとか、丁寧な診察をする医師ほど時間は長くなりますし、人気のある医師は、多くの患者さんを診察していますので、待ち時間への影響は大きくなります。

 一般的に予約は、時間ではなく予約枠に割り振られます。例えば9時―9時30分枠の予約であるところを、習慣的に9時の予約と説明してしまうことがあり、時間枠内に診察が終了しても9時に診てもらえなかったという不満が残ります。

 待ち時間の解消や短縮に向けて、各病院はさまざまな対策を講じていますが、なかなか根本的な解決は難しく、満足していただけないのが実情です。

 ただ、手厳しいご意見も「クレームは宝」、この病院が更に良くなって欲しいという期待からであることは十分理解していますので、患者さんにもこの辺りの事情をくんでいただければと思います。
(文=伊藤雅史・社会医療法人社団慈生会等潤病院理事長)

日刊工業新聞2017年3月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
大学病院ほどの大手にはほとんど行かないのだが、少なくともかかりつけの街の各種病院は予約制でほとんど待ち時間は苦にならない。食べ物屋の行列もほとんど苦にならない。目的が明確化かそうでないかで、待ち時間の印象もかなり変わる。

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