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医師は勉強しているの?「ただ処方箋書いて薬を出しているだけじゃないか」の誤解

ほとんどは生涯学び続けて、がめつく儲けてもいない
 「お医者さんは大変ねぇ。一生勉強ですものね」と昔はよく言われました。しかし、少し前、診療報酬を詐取したとして女性医師が逮捕され、あるテレビ番組のコメンテーターが「医者は勉強してないよ。ただ処方箋書いて薬を出しているだけじゃないか」と言っていたのを見て、とてもがっかりしました。

 従来ドラマやマスコミでがめつく儲ける存在として設定されることが多くありましたが、こんな恥ずかしい言葉を浴びせられる存在になっていたとは知りませんでした。どんな分野もプロフェッショナルといわれる人は常に学んでいなければなりませんし、まして人の健康、命を預かる医者ならなおさらです。今でも、ほとんど全ての医師は生涯、学び続けていますし、がめつく儲けてもいません。

 医学部は6年間ですから、仮にストレートで24歳に卒業し、医師国家試験に合格したのち5―10年の基礎研修・専門研修を行って、臨床で一人前の医師になるには最短でも30歳を超えてしまいます。

 さらに、専門分野で狭い範囲を極める人、広い分野を学び、各専門分野をつなげる役に回る人と、医者の生き方もいろいろです。どの道を選ぶにせよ、不断に新技術が生まれ、時代についていくための勉強が欠かせません。

 特に外科系は手技を体が覚えるのに長い時間がかかります。かかりつけの病院に行ったら、主治医が学会に出張のためと休診とされ、不便な思いをしたこともあるでしょうが、学会こそ勉強の場であるのでお許し下さい。

日進月歩に後れを取りたくない


 我々東京都病院協会の会員は病院長や理事長などの経営者が多いので、学会だけではなく、経営を学ぶ場を日常的につくっています。多くは平日夜か休日に開きます。外来・入院患者を診ていると、夜や休日しか学ぶ時間がないからです。日進月歩に後れを取りたくないと、医者はその場に出ています。仲間たちを見ていると、学んでいないと不安になる「学び中毒」的な人が多いと思います。

 私も、毎週金曜日の朝6時半から「早朝勉強会」を開いています。病院経営者を中心に30人近くが集まり、医療はもちろん、政治、経済、科学、文化などを幅広く学ぶ場です。1985年(昭60)に始まり、今や1350回を超えました。初めて参加した頃は「こんなに朝早く何をやってんだろう」と感じていました。今では参加しないと不安になってしまう自分がいることに気づきます(笑)。きっと辞めるに辞められない「中毒」のようなところもあるかもしれません。これからも学ぶ姿勢は失わないように心掛けていきます。
(文=竹川勝治<医療法人社団 愛育会理事長 愛和病院院長>)
日刊工業新聞2016年7月29日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
患者からみると、医師が勉強しているかいないかはあまり関係ない。一通りの会話で「この人は勉強家」だとも分からないし、仮に知識が豊富でも藪医者はいる。一番、勉強してもらいたいのは患者とのコミュニケーションがとれる心理学か。

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