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病院運営で弊害になりつつある「専門職」の医師や看護師たち

人件費の高騰やわがままでチームワークを乱すことも
 仕事をする人には、大きく分けて「専門職」と「一般職」とがあります。病院で働く人では、医療職という「専門職」と、事務職という「一般職」となります。病院で働いている医師をはじめ、薬剤師、看護師、診療放射線技師などの公的な免許を持ったコメディカルと呼ばれる人たちが医療職、つまり「専門職」です。

 歴史をたどると、医師にはヒポクラテスの宣誓、看護師はナイチンゲール誓詞(せいし)という倫理基準に基づき聖職的な自己規律を求められます。医療は人を助ける仕事です。

 そうした「専門職」の仕事は、医療の発展に連れてどんどん専門的になってきています。その弊害が病院運営にも支障をきたしています。

 例えば、超高齢社会に伴う社会保障費の抑制により病院経営が圧迫される中、医師の専門医制度により専門以外は診られないという弊害が生じ、いろいろなケガや病気の患者さんに対応するために複数の医者をおかなければならず、人件費の高騰により経営を圧迫する事態にもなっています。

 また、病院で働いている医師、薬剤師、看護師などの「専門職」は、他の「専門職」や「一般職」ともチームワークが必要になります。

 しかし、昨今、ともすれば人材派遣会社を盾として、我儘(わがまま)を通す医師、看護師などの「専門職」も少なからずいるようになってきました。たくさんの異業種のいる病院はあたかも旅客船のようです。専門分化された異なる知識・能力を持った人が協力して働く必要があります。

 また、どのような業種でも同じですが、育った生活文化が違う人々が同じ職場で働くということは、浪花節を好む家庭に育った人と、オペラやクラシックを聴きながら育った人がタッグを組むことなので、協調性が必須となります。

 「専門職」同士の意思疎通を図り、情報を共有化し、バランスを維持するために、「一般職」が間を取り持つ役割を増しているように感じます。警察や消防のように序列のはっきりした組織ではない分、意思統一が難しいのが病院経営の実態です。医療の現場では、選択肢、優先度、次善の策を常に心がけて、「専門職」、「一般職」がバランス感覚を持ちながら、早急かつ臨機応変にチームで対応していきたいと考えています。
(文=沖野光彦・旗の台脳神経外科病院理事長) 
日刊工業新聞2016年11月11日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
新聞記者も専門性の高い人(編集委員になったりするケースが多い)と、ゼネラリスト(ラインでデスクや部長になっていく人が多い)のバランスは難しい問題です。

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