日本生命は1.2兆円で外資買収…大手生保、国内依存脱却で生き残りへ
2024年は大手生命保険各社が国内生保依存から脱却する動きが目立った。業界最大手の日本生命保険は約1兆2000億円を投じ、外資生保の買収を決めた。日生は海外展開以外に、介護や保育にも手を広げた。個人保険の保有契約は約1億9000万件と、国内の人口を上回る。30年以降も見据えた持続可能な成長に向け、生保各社は海外と保険以外の事業に触手を伸ばし、新しい保険会社像を模索している。
「事業分散によって安定的に収益を上げる」。日生の清水博社長は外資生保の完全子会社化の会見で、こう狙いを述べた。
買収したレゾリューションは、米国などで他の生保から既契約を買い取り、効率的な資産運用で収益を上げる「既契約受託事業」が主力。日生が対消費者で生保事業を営むのに対し、レゾリューションは対企業のビジネスという特徴がある。対象顧客や事業モデルが異なり、相互補完やリスク分散が図れると見込む。また国内と海外という地域的な分散も図り、日生は収益基盤を安定化する方針だ。
第一生命ホールディングス(HD)は11月、米団体保険会社の買収を完了する一方、国内では25年に1000人規模の希望退職者を募る。海外人材などを積極採用し、「目指す姿に向け、人材の多様化を一層進める」(第一生命HDの和田京子執行役員)狙いだ。同社は30年度にグローバルでトップ集団入りを目指す。目標実現に向け、第一生命HDは身を切る覚悟だ。
明治安田生命保険は、「保険会社の役割を超える」(永島英器社長)狙いで、1月に社名の通称から「生命」の2文字を削除した。住友生命保険は、シンガポールの関連会社を3月に完全子会社化し、金融庁から日米を含む国際的に活動する保険グループとして相互会社で初めて指定を受けた。
国内の生保市場は少子高齢化を背景に先細りが予想されている。各社はこれまで中核に据えてきた国内生保事業への依存度を下げることで、不確実性が増す時代での生き残りを目指す。
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