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本社に大型テント設置も…生損保がオフィス改革で目指すモノ

本社に大型テント設置も…生損保がオフィス改革で目指すモノ

テントの打ち合わせスペース

生損保各社がイノベーションが生まれるオフィス改革に努めている。住友生命保険は2月に稼働した東京本社(東京都中央区)にキャンプ用のテントを設置。リラックスした空間で新しい発想が生まれることを狙う。あいおいニッセイ同和損害保険や第一生命保険は飲食スペースで社内外の人と交流できる場を用意する。人と人が触れ合うことで創発を促し、新保険商品やサービスの開発を目指す。(大城麻木乃)

住友生命はオフィスの一角に、8人前後を収容できる大型のテントを設置した。中に長椅子と長テーブルがあり、ちょっとした会議が行える。また床の上に大型のクッションを置いて、体の力を抜いた姿勢で2、3人で打ち合わせができる場も設けた。「いつもとは違う雰囲気で会話が弾むことを意図した」(同社)という。

住友生命は約2000人が入居する新しい本社を「フラットで良質なコミュニケーションと部門や企業の枠を超えたコラボレーションを促進する場」と位置付ける。席を固定しないフリーアドレスを採用し、違う部門の社員同士が偶然隣り合わせで座ることを狙う。何げない会話から部門間のコラボ企画に発展する効果を期待する。

社員の交流スペース「ADカフェ」

あいおいニッセイ同和損害保険は、東京・恵比寿の本社4階を改装し、社員の交流スペース「ADカフェ」を開設した。同社はテレワーク率を5割に設定し、社員同士でウェブ会議も頻繁に行う。単純な業務連絡ならウェブでも対応できるが、「部を越えたアイデア出しが難しかった」(総務部総務グループ長の松本恭子氏)。本社は社員同士が積極的に交わる場とし「リアルの良さを極めたい」(同)。

第一生命は、日比谷本社の食堂を改修中だ。これまでは同社社員しか利用できなかったが、他のフロアのテナント企業も利用できる場とし、共創拠点を目指す。

各社がオフィス改革を推進する背景には、コロナ禍を経てテレワークが普及し、働き方に合わせてオフィスも変わる必要に迫られたことがある。また生保においては保険周辺のヘルスケアも含んだ「ウェルビーイング」領域へ手を広げ、損保では「保険前後」のサービスへ事業を拡張する動きがある中、既存の枠組みにとらわれずに議論する環境が求められていることがある。時代に合わせて、各社のオフィスは進化を遂げそうだ。

日刊工業新聞 2023年03月17日

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