「自動車保険」値上げ…大手損保4社、特約充実で理解求める
大手損害保険4社は2025年1月の自動車保険の値上げに合わせ、商品を改定する。東京海上日動火災保険はエンジンなどの故障に備える特約で、補償対象範囲を消耗部品や油脂類まで拡大。損害保険ジャパンは事故や故障で車を修理中の際に手配する代車費用を補う特約で、1日に支払う限度額の上限を1万5000円から2万円に引き上げる。補償を充実して商品の魅力度を高め、値上げに対する理解を求める。
東京海上日動火災保険は10万円が上限の「故障補償特約」で、エンジン修理時にエンジンオイルを、ラジエーター修理時に冷却水を交換する費用まで補償する。従来は主な発生原因となった部品の修理過程で、消耗部品・油脂類を交換せざるを得ない場合は契約者負担になっていた。顧客から補償拡大を求める声があり、対象に加える。追加保険料は発生しない。
損保ジャパンは10台以上のフリート契約の場合、代車費用の日額の支払い上限を2万円に引き上げる。市場のレンタカー価格の上昇を反映する。
三井住友海上火災保険は初めて自動車保険に契約する顧客向けの補償を拡充する。自動車事故で賠償請求交渉を弁護士に依頼する費用を補う特約などを付ける。あいおいニッセイ同和損害保険は簡単なゲームを通じて運転しなくても顧客の運転傾向を予測し、安全運転をアドバイスする新サービスを開発。自動車保険の契約者向けに無償提供する。
大手4社は25年1月に自動車保険料を平均で3・5-5%程度引き上げる。インフレや自動車の電動化などで事故車の修理単価が上昇していることなどが要因だ。自動車保険は他社との差別化は難しいが、消費者ニーズを捉えて補償を見直す。
日刊工業新聞 2024年11月08日