「再生材を自動車に使うめどが立った」、トヨタ紡織と豊田合成が再生プラ車部品試作
トヨタ紡織と豊田合成は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、再生ポリプロピレン(PP)を用いて自動車部品を試作した。成型性や引張試験、衝撃性試験などの評価項目を達成した。欧州委員会が新車への再生プラスチック利用を求めるELV規則案への対応に道をつけた。
自動車部品の試験目標値は設計に依存するため部品メーカーがそれぞれ設定しており、公開できないノウハウになっている。SIPではプラスチックの配合を決めるコンパウンドメーカーにトヨタ紡織と豊田合成が試験目標値を提供し、再生PPと新品のPPとの配合や成型条件などを検証した。
トヨタ紡織がドアリム・ロアー、豊田合成がグラブ・ボックスを作製したところ、成型性やにおい、曲げ試験などの基本評価項目を達成した。コンパウンドメーカーと部品メーカーの両方で試験しており、実際の調達プロセスに適合する。今後、耐候試験などの時間のかかる耐久試験を進め、使用条件などを含め適用範囲を広げる。
再生材はPPに少量のエチレンを混ぜたランダムコポリマーが主体になる。一方で自動車部品に利用されるPPは耐衝撃性を高めるためにゴム層が加えられたブロックコポリマー。再生材のランダムコポリマーを25%混ぜてもブロックコポリマーと同等の機能を発現させる必要があった。SIPの伊藤耕三プログラムディレクターは「再生材を自動車に使うめどが立った。リサイクルや製造などのサプライチェーン(供給網)で連携して開発する意義を示せた」と述べた。
日刊工業新聞 2024年12月02日