デンソー・アイシン・愛知製鋼…トヨタG株主総会が終盤へ、首脳らが語った品質管理
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社の定時株主総会が終盤を迎えた。20日にデンソーが開催し、25日のジェイテクトを残すのみとなった。各社の総会ではグループで発覚した認証の不正や不備を受け、品質に関する取り組みや考え方に関する質問が株主から多く上がった。製造業にとって品質が重要であることは論をまたない。日本の製造業をけん引し、世界で戦う企業集団なだけに襟を正すことが期待されている。(名古屋・川口拓洋、同・増田晴香)
認証・ルール確認強調 各社体制見直しで再発防止
20日のデンソーの総会では複数の自動車メーカーで発生した品質不正を受けて、認証やルールの順守を確認する質問が上がった。
加藤良文経営役員は「深刻に受け止めている」とした上で「認証に関する事案は2023年に全社で再点検をした。法規に適合していることを確認した」と説明。ルールに順守した体制を維持するため「開発から量産までの九つの“関所”を用意しており、一つひとつに法規認証チームと品質管理チームがダブルチェックをしている」と明かした。林新之助社長も同問題に言及し「不正リスク対策には風通しの良い風土づくりが不可欠」と体制づくりを強化する意向を示した。
フォークリフト用エンジンなどの認証不正が発覚した豊田自動織機の総会では冒頭に伊藤浩一社長が陳謝。「創業の志や思いをあらためて認識し、間違いを二度と繰り返さないよう力を注ぐ」と再発防止を誓った。
アイシンは法規認証取得部品の総点検を実施。吉田守孝社長は「不正の事実は見つからなかった」と報告した。認証業務は複雑化しており、曖昧な手順の明確化や仕入れ先を含めた基礎教育、専門教育の拡大を進めている。より良い職場の実現に向けてヒアリングも実施した。262件の困りごとや不安の声が寄せられ、一つひとつに対応。「一過性ではなく当たり前の活動として根付かせたい」と吉田社長は強調した。
豊田合成は認証取得部品について「10年さかのぼって調査した。問題がなかった」(河瀬誠品質保証本部長)と説明。一連の不正を「自分ごと」と捉え、組織や仕組みを見直しているさなかにある。23年6月には「法規認証室」を設置し、変化が激しい法規に関する情報をいち早く取得できる体制を整備した。
愛知製鋼は23年5月に一部の特殊鋼鋼材の寸法が規格を超えて出荷していたことを公表している。再発防止策として、後藤尚英社長が主導する「品質ステップアッププラン活動」を進めている。トヨタ紡織の総会でも過去の不正事実の有無や、不正防止の取り組みに関する質問があった。 トヨタ自動車は25年3月期を次の挑戦に向けた「足場固め」の期間と位置付け、仕入れ先や販売店とともに取り組みを進める方針を示している。サプライチェーン(供給網)の裾野にまで取り組みを浸透させる上で、トヨタグループ主要部品各社の役割もいっそう重要性を増しそうだ。
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