乗用車8社の世界生産…6ヶ月連続前年割れ、米中競争激化で視界は晴れず
乗用車メーカー8社が28日発表した10月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比4・6%減の226万2311台となり、6カ月連続の前年割れとなった。中国や米国といった主要国での競争激化に加え、ローン審査の厳格化が続くタイなどで販売が低調だった。
世界生産はSUBARU(スバル)を除く7社が前年割れとなった。4カ月ぶりに前年同月実績を上回ったスバルは「海外で9月に一部部品の納入遅れがあったが解消し、10月に挽回生産したため数字が上振れた」と説明する。
トヨタ自動車と三菱自動車は9カ月連続、日産自動車とスズキが5カ月連続、ホンダ、マツダ、ダイハツ工業は3カ月連続で、それぞれ前年を下回った。
トヨタの北米生産は一部車種のリコール(無料の回収・修理)による生産停止が響き、前年同月比7・2%減の18万6035台だった。日産は米国でスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」の台数減により、同15・0%減の4万7698台だった。
中国市場での苦戦も続く。日産はSUV「キャシュカイ」の台数減で、中国生産が同15・0%減の5万1946台となり、5カ月連続で前年を下回った。トヨタは同8・7%減。ホンダは同45・9%減と大幅減となった。
厳格なローン審査が継続しているタイやインドネシアでも各社低調に推移する。タイ生産はトヨタが同12・8%減、三菱自が同13・0%減。インドネシア生産はトヨタが同5・8%減だった。ダイハツやスズキもインドネシア生産が低調だった。
トランプ次期米大統領は輸入関税の引き上げや環境規制の緩和に踏み切る可能性があり、日系完成車メーカーの今後の投資・商品戦略にも影響しそうだ。中国車など新興勢力との競争もあり、視界は晴れない。
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日刊工業新聞 2024年11月28日