トヨタ・ホンダ・スズキは過去最高、乗用車7社の4―6月期決算は好調さ目立つ
乗用車メーカー7社の2024年4―6月期決算は日産自動車と三菱自動車を除く5社が営業増益となった。トヨタ自動車とホンダ、スズキが過去最高を更新。日産はコスト増が響き前年同期比99・2%減と落ち込んだものの、7社合計は同11・9%増の2兆1287億円と好調さが目立った。一方、米国、中国市場の競争激化や為替の円高進行など先行きに不透明感も増している。
4―6月期の好業績を支えたのは円安だ。7社合計で営業利益段階で5881億円の押し上げ効果があり、販売奨励金(インセンティブ)や労務費、研究開発費などの上昇分を補った。マツダのジェフリー・エイチ・ガイトン取締役専務執行役員最高財務責任者(CFO)は「米国でのインセンティブが上昇している。為替で相殺できている」と指摘する。
主力の北米市場は総じて好調だった。トヨタやホンダは需要が堅調なハイブリッド車(HV)の貢献もあり、それぞれ伸長。トヨタのHV販売は北米で前年同期比50%増と支持を集めた。マツダは高付加価値の戦略商品「ラージ商品群」がけん引し、4―6月期の北米販売は過去最高だった。
一方、三菱自動車はディーラーへのサイバー攻撃が影響し、SUBARU(スバル)は日本国内での減産が響いた。両社の北米・米国販売は前年同期を下回った。
日産は車種の切り替えが遅れ、商品構成にHVがないこともあり販売が苦戦。インセンティブを積み増したことで大幅減益となり、25年3月期連結業績予想を下方修正する一因となった。内田誠社長は「下方修正は大きな決断。下期に米国での新車攻勢で販売増と価格の安定を図る」とした。
中国市場では各社が苦戦する。新エネルギー車(NEV)の市場拡大と価格競争の激化で販売を伸ばせていない。トヨタは高級車ブランド「レクサス」を含む4―6月期の販売台数が同17・6%減。ホンダは中国の販売減を受け、25年3月期の世界販売台数目標を引き下げた。
25年3月期連結業績予想はホンダと日産を除く5社が期初の公表値を据え置いた。競争が激化し、米国では引き続きインセンティブの増加がネックとなる。中国でも現地資本の乗用車メーカーが攻勢をかける中、競争力の確保がカギだ。
足元の為替は想定レートの範囲内にある企業が多いものの、円高が進行すれば収益の下押し圧力となる。「変化はいつでも起きる。いかに耐性を付けるか。事業構造の構築に努める」(藤村英司ホンダ取締役執行役常務)。製品構成の改善とともに一層のコスト改善が求められそうだ。
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