繊維撤退・高分子に集中へ…ユニチカ社長「生き残りかけ計画遂行」
ユニチカは11月28日、祖業の繊維事業から撤退すると発表した。不織布や産業繊維といった機能資材事業も一部を除き撤退する。繊維事業は中国メーカーの攻勢などで苦戦が続き、2023年度の営業損益は5億円の赤字だった。今後、両事業の売却先を探し、包装用フィルムや工業用フィルムといった高分子事業に経営資源を集中する。主な取引銀行に債権放棄を要請し、地域経済活性化支援機構(REVIC)の出資を受けて、経営の立て直しを図る。
28日会見した上埜修司社長は「ユニチカグループが存続するための最後のチャンスをいただいた。生き残りをかけて事業再生計画を遂行する」と述べた。
25年4月30日をめどにREVICを引受先とする約200億円の第三者割当増資を実施。REVICから最大150億円、三菱UFJ銀行からは同90億円の融資を受けて抜本的な事業再構築に取り組む。併せて三菱UFJ銀行などに同430億円の債権放棄を要請する。同行と三菱UFJ信託銀行は保有するユニチカの発行済み種類株227億円を無償譲渡する。
ユニチカの上場は維持する。一般商取引債権への影響はないとしている。25年4月下旬の出資実行日にユニチカの取締役や監査役は退任する。
同社は14年から構造改革に取り組んだが、為替の円安、繊維需要の減少、高分子事業の海外市場の競争激化などの影響で収益力を回復できなかった。27年度に全事業を黒字化し、29年度に売上高700億円(24年度予想は1200億円)、営業利益65億円(同30億円)を目指す。
上埜社長は撤退事業の譲渡先について「雇用を承継することも重要なポイント」とし、「雇用には最大限配慮した形で改革を続けていきたい」と語った。
日刊工業新聞 2024年11月29日