東洋紡エムシーの高機能素材が動物園で相次ぎ採用されているワケ
東洋紡エムシー(大阪市北区、森重地加男社長)の高機能素材「ブレスエアー」が、動物園で相次ぎ採用されている。1996年に発売されて以来、寝具や新幹線の座席シートなど幅広い用途の素材として使われてきた。それが最近では、高齢化が進む動物向けのマットレス素材として注目されている。
東洋紡エムシーは10月、王子動物園(神戸市灘区)で飼育されているエゾヒグマの“動物サポーター”に就任した。同園では2023年から、ブレスエアーを用いたマットレスを、人間であれば80―90歳に相当する32歳のエゾヒグマの褥瘡(じょくそう)予防を目的に活用していた。4カ所あった褥瘡のうち現在は3カ所の傷がふさがり、残る褥瘡も回復傾向にある。
ブレスエアーは熱可塑性ポリエステル系エラストマーを繊維状にし、立体的に接合した3次元網状繊維構造体。軽量で高反発なほか体圧分散性が良く、体重が1カ所に集中しないのが特徴だ。その特性を生かして介護用マットレスでも採用されてきたが、これが高齢化する動物にも受け入れられた格好だ。
元々は金沢動物園(横浜市金沢区)で21年にオオカンガルーなどに使われ、褥瘡予防に効果があったことがきっかけ。王子動物園ではエゾヒグマに加えて、ツキノワグマやフサオマキザルでも使用を始めた。足元では他の動物園からの問い合わせも増えており、東洋紡エムシーは動物向けへの展開にも力を入れていく方針だ。
日刊工業新聞 2024年11月7日