開発加速の機運高まる「地熱」、国立・国定公園で100件に
国内で地熱開発を加速させる機運が高まっている。開発区域として有望な国立・国定公園内での調査や操業などが3月末時点で100件に達した。地熱発電は天候に左右されず、安定したベースロード電源に位置付けられており、エネルギーの脱炭素化に向けて導入が期待される。
2012年の規制緩和を受け、国立・国定公園で地熱開発が活発化している。100件のうち、地表調査が41件と最も多く、掘削調査が24件、操業が16件。開発件数全体では19年と比べて2倍に増えた。
国立公園などで地熱開発への期待が高い一方、企業がなかなか参画しにくいという。そこで政府はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の初期調査などを通じて、企業の参入を後押しする方針。未開発の区域での調査やアセスメントなどの進展につながりそうだ。
再生可能エネルギーの一つとして有力な地熱発電だが、23年12月末時点の導入量は60万キロワットにとどまり、30年度導入目標の150万キロワットを達成するハードルは高い。開発のリードタイムが長いのも課題だ。関与する事業者や自治体、規制する行政機関などが連携し、円滑な開発が求められる。(随時掲載)
日刊工業新聞 2024年11月18日